任天堂の新しい据え置き型ゲーム機「Wii U」が、2012年11月18日に北米で、同年12月8日に日本で発売された。苦境に立っている同社にとって、Wii Uが業績回復のカギを握る。そこで、ゲーム業界に詳しいSMBC日興証券 株式調査部 シニアアナリストの前田栄二氏に、2012年12月末時点でのWii Uに対する見解について語ってもらった。(聞き手:根津 禎=日経エレクトロニクス)

 Wii Uのハードウエアの完成度は高く、使い心地もよい。タブレット型コントローラ「GamePad」が約500gで重いとの指摘もあるが、両手で持つのならばそれほど重くない。コミュニケーション・サービス「Miiverse」に対するユーザーの評価も非常に高い。

 一方で、初期設定が面倒である。中でもWii Uのソフトウエア・アップデートに1時間弱掛かるのは大変だ。この点は任天堂らしくない。

 Wii Uは、日本では発売初週に30万台以上出荷された。これは、2006年に発売されたWiiよりもやや少ない。この差は、Wii Uの製品ラインアップに原因があるだろう。

 Wii Uは、希望小売価格が3万1500円(税込み)の「Wii U PREMIUM SET(Wii Uプレミアムセット)」と、同2万6250円の「Wii U BASIC SET(Wii Uベーシックセット)」の2種類がある。このうち、プレミアムセットの方が品薄だった。

 発売後すぐに購入する人ほど、ゲーム好きのユーザー(いわゆるゲーマー)が多い。ゲーマーの場合は、内蔵フラッシュ・メモリの容量が多く、Wii U GamePad向け「充電スタンド」などの付属品が付いたプレミアムセットを購入する傾向が強い。このため、ベーシックセットが店頭に並んでいても、プレミアムセットの入荷を待って買い控えしているユーザーが存在したと考えられる。プレミアムセットとベーシックセットの供給の配分に課題があったことが、Wii Uの出荷台数がWiiよりも少ない理由だと考えている。