決算会見の様子
決算会見の様子
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 パナソニックは、2012年度第1~3四半期累計(4~12月期)の連結決算結果を発表した。売上高は前年度同期比9%減の5兆4397億円、営業利益は同208%増の1220億円と減収増益だった。

 2012年度第3四半期の世界経済は、米国や中国で一部明るい兆しが見られたものの、欧米の財政問題などによる先行き不透明感が重荷となり、全体的に緩やかな回復にとどまったという。同社を取り巻くエレクトロニクス業界は、デジタル製品に加え、デバイスの需要も低調で、総じて厳しい状況が続いた。その一方で、為替が対米ドル・対ユーロで高水準の円高から円安に向かい、国内株式市場も持ち直すなど、日本企業の経営環境の改善に向けた変化が出てきた。

 こうした中、パナソニックの2012年度第3四半期の連結売上高が減収となったのは、市況の回復に伴う自動車関連商品が堅調に推移したものの、収益性を重視した商品展開に加え、国内の薄型テレビ市場やBlu-ray Disc(BD)レコーダー市場の需要が低迷したことなどが理由である。そして、減収にもかかわらず増益となったのは、固定費削減や材料合理化の推進などが功を奏したからである。

 2012年度第1~3四半期累計の主な事業セグメント別の業績は以下の通り。AVCネットワークス部門は、売上高が前年度同期比23%減の1兆789億円と減収となった。薄型テレビ、BDレコーダー、デジタルカメラなどの売り上げが大幅に減少したからである。営業利益は固定費削減や構造改革効果などにより、前年度同期の405億円の赤字に比べて大きく改善し、216億円の黒字となった。

 アプライアンス部門では、売上高が前年度同期比1%増の1兆1971億円と増収だった。エアコンの売り上げが前年度同期を下回ったが、冷蔵庫や洗濯機などの売り上げが伸長し、増収となった。営業利益はエアコンの販売減による収益悪化などにより、同8%減の703億円となった。

 システムコミュニケーションズ部門では、売上高が前年度同期比15%減の5098億円だった。小型複合機、構内交換機(PBX)などシステム関連機器や携帯電話の売り上げが減少したことが響いた。営業利益は、売上高の減少などにより、前年度同期の23億円の赤字から悪化し、140億円の赤字となった。

 エコソリューションズ部門では、売上高がほぼ前年度同期並みの1兆1401億円だった。欧州向け太陽光発電システムの売り上げが減少したが、LEDを中心とするライティング事業や、配線器具などのエナジーシステム事業の売り上げが増加した。営業利益は合理化推進などにより、同11%増の427億円となった。

 オートモーティブシステム部門では、売上高が前年度同期比28%増の5717億円となった。カーオーディオやカーナビを中心に、国内外で売り上げが増加したことにより、大幅な増収となった。営業利益は売り上げの増加などから大きく改善し、同269%増の119億円だった。

 デバイス部門では、売上高が前年度同期比5%減の1兆302億円だった。光ピックアップや半導体などの売り上げが減少し、減収となった。営業利益は固定費削減などにより前年度同期の137億円の赤字から大きく改善し、179億円の黒字となった。

 エナジー部門では、売上高が前年度同期比6%減の4348億円となった。車載用電池が大幅に伸長したが、民生用リチウムイオン電池や欧州向け太陽光発電システムの売上が減少したことが響いた。営業利益は、固定費削減や材料合理化などにより前年度同期の167億円の赤字から大きく改善し、64億円の黒字となった。