分解,相変わらずの人気です。今回のニュース・ランキングの上位は,キヤノンのデジタル・カメラ用LSIの内部構造を探った記事が見事に独占しました。記事に載せたLSIの断面SEM写真を見ていると,日経エレクトロニクスによる分解企画が始まった当初を知る筆者としては,感慨深いものがあります。ドライバーが数本あれば事足りたのは昔の話。今や分解もここまでやらないとダメなのでしょう。背景には,LSI数個とソフトウエアで機器を実現できる時代の到来があります。このままではそう遠くない将来に,製品の実体はLSI一個とソフトウエアになるのかもしれません。

 そんなときが来るのを,筆者は密かに恐れています。なぜなら私は「ものが壊れやすい人」だからです。幼少時に家にあったステレオから,お気に入りのiPodまで,私の持ち物はなぜかよく壊れます。こうした人間にとって「製品=LSI一個」時代は脅威です。ちょっと壊れただけでも,製品がすべて交換になってしまうわけですから。

  ハードウエアだけならまだマシです。どのような原理か分かりませんが,私が使っている製品は,ソフトウエアもしばしば不調に陥ります。現に,この原稿を書いているパソコンはしょっちゅう固まりますし,Webブラウザーが突然クラッシュして作業がおじゃんになるのも日常茶飯事です。最近Tech-On!の投稿システムがよく暴走してしまうのも,ここだけの話,私のせいかもしれません。やっかいなのはソフトウエアの場合は交換がきかないこと。システムを丸ごと入れ替えても,遅かれ早かれ調子が悪くなってしまうのです。

 周囲の話を聞くと,世の中には一定数,こういう人間がいるようです。その証拠に,以前日経エレクトロニクスの編集部にいたI記者も私の同類でした。そんな我々は「ソフトウエアの修理屋さん」を求めています。これからの時代,結構繁盛しそうな予感がするのですが,いかがでしょうか。

2月16日~20日のニュース・ランキング