前回の記事:【写真で見るDIGIC 4】その2,やはりルールは65nm
「DIGIC 4」と前世代品「DIGIC 3」の間では物理的な寸法などにどんな違いがあるのか。DIGIC 3についてもヴァン・パートナーズの協力を得て,半導体パッケージや配線層を除去して観察した。ただし,論理回路のゲート数やメモリ容量の推定といった詳細な調査は,時間的な制約から見送っている。DIGIC 3は「PowerShot A470」から取り出した。安価な機種だが,キヤノンの説明通りならば「IXY DIGITAL」シリーズとほとんど同じ回路を集積しているはずだ。
今回用いたDIGIC 3は,メモリ・チップを載せていなかったので,半導体パッケージを即座に除去できた。現れたチップの寸法は,6500μm×6500μm×220μmである(DIGIC 4との比較表を末尾に掲載しております)。
配線層を取り除き,メモリの配置を確認した。
SEMで断面を除くと,配線層が6層あった。
ゲート長の計測したヴァン・パートナーズは,DIGIC 3の設計ルールを130nm程度と推定した。
以上の調査結果を比較表にまとめた。DIGIC 4のチップ面積は,DIGIC 3に比べて20%大きい。H.264の符号化/復号化といった機能の増大を,微細化や配線層の追加で乗り切ったことがうかがえる(関連記事)。DIGIC 4のチップの厚さがDIGIC 3の半分ほどなのは,PoPを用いたためだろう。
――連載終わり――