今週は,来る10月1日に社名を「パナソニック」に変える,松下電器産業の話題で持ちきりでした。1位2位にデジタル・カメラの新製品,4位にはPDP事業での日立製作所との協業7位には白物家電の戦略説明会の話題が入りました。筆者も白物家電の説明会に参加し,同社のただならぬ意欲を感じた次第です。

 白物家電の発表会で印象に残ったのは,松下が手掛ける家庭向け製品の合計額は,自動車の価格をも上回るという主張でした。それらの製品群をすべて「パナソニック」色に塗り上げることができるのならば,同社がトヨタ自動車に匹敵する超巨大企業に成長することも夢ではないのかもしれません。ただし消費者の立場からすれば,ブランド名が同じになったからといって,家にある数々の機器を同じメーカーの製品で揃えようと考えるわけではないでしょう。松下の戦略が功を奏するかどうかは,今後力を入れるというネットワークを介した機器の連携,同社の言葉を借りれば「超・繋がる」が,どれくらい新しい価値を生み出せるかにかかっています。

 松下電器の挑戦には,日本的な総合電器メーカーが今後進む道を探るという意味もありそうです。今回コラム・ランキングの2位に入った記事にあるように,日本企業が世界市場で戦っていくには,「自分のコアとなる事業が何かを見つめ直し,その分析結果を基に事業を改革」することが鉄則といえます。その結果,数多くの事業を抱える日本の大手電機メーカーは,ここ数年事業の再編を余儀なくされてきました(関連記事)。

 AV機器から白物家電,住宅設備までの広い市場で攻勢を賭ける松下電器は,一見この流れに逆行するかのようです。しかし,米Intel社や米Microsoft社といった専業メーカーが栄華を極め,水平分業体制が幅を利かせる時代が,永遠に続くとは限りません。多くの機器やサービスがネットワークを介して繋がる時代には,総合企業に再び追い風が吹く可能性はあるでしょう。パソコンとAV機器の連携で成果を上げる米Apple社や,いつの間にか携帯電話機やエネルギー技術にまで触手を伸ばしているGoogle社など,新たな総合企業の萌芽もちらほら見えてきました。パナソニックが,どのような未来を切り開くのか楽しみです。

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