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接眼して使うファインダー(EVF)を覗いてみたところ,これまでの民生用カメラにおけるEVFのような画像の荒さは見つけられなかった。ただし,EVFを見ながら試作機を素早く横方向に振ると,画像表示がわずかに遅れるのか,フィールドシーケンシャル方式の液晶パネルで起きがちな「色割れ」が発生しているのか,不自然に見える場合があった。なお,EVFのそばの白っぽい点は,撮影に用いたカメラが赤外線を写し出したもの。肉眼では見えない
接眼して使うファインダー(EVF)を覗いてみたところ,これまでの民生用カメラにおけるEVFのような画像の荒さは見つけられなかった。ただし,EVFを見ながら試作機を素早く横方向に振ると,画像表示がわずかに遅れるのか,フィールドシーケンシャル方式の液晶パネルで起きがちな「色割れ」が発生しているのか,不自然に見える場合があった。なお,EVFのそばの白っぽい点は,撮影に用いたカメラが赤外線を写し出したもの。肉眼では見えない
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潜在ニーズの裏付けとして松下電器産業が示したアンケート結果
潜在ニーズの裏付けとして松下電器産業が示したアンケート結果
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左は販売中の「DMC-L10」,右がDMC-G1
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左はDMC-L10のマウント,右がDMC-G1のマウント
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静物などを撮るときにプレビュー画像を見ながら色合いや明るさ,鮮やかさを調整できる「マイカラーモード」を搭載した。液晶モニターはもちろんEVFを用いて調整できる
静物などを撮るときにプレビュー画像を見ながら色合いや明るさ,鮮やかさを調整できる「マイカラーモード」を搭載した。液晶モニターはもちろんEVFを用いて調整できる
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 「これぞ本当のデジタル時代の高級機。競争の局面を変えたい――」。松下電器産業は,レンズ交換式のデジタル・カメラ「LUMIX DMC-G1」を2008年10月31日に発売する(ニュース・リリース)。「今のデジタル一眼レフ機は初心者や女性の多くにとって敷居が高い。買った後も使いこなせていない場合が多い。我々がこの現状を変える」(同社)。

 こうした目的に向けて松下電器産業が下した決断が,一眼レフで必須の機構部品「ミラー・ボックス(=レフ)」と光学ファインダーの廃止である。このため,松下電器産業は今回の製品を「デジタル一眼レフ」ではなく,「デジタル一眼」と呼ぶ。画質や感度を左右する撮像素子の寸法は,同社従来の一眼レフ機と同じ4/3型である。DMC-G1は,同社とオリンパスなどが推進するレンズ交換式カメラの新規格「マイクロフォーサーズシステム」に準拠している。

 本体の重さは約385gと,従来の一般的なデジタル一眼レフ機に比べて大幅に軽い。ミラー・ボックスや光学ファインダーを廃止したためだ。標準ズーム・レンズを装着したときの重さは,約635gである。突起部を除く本体の外形寸法は124mm×83.6mm×45.2mm。デジタル一眼レフ機としてこれまで最も小さかった,オリンパスの「E-420」は129.5mm×91mm×53mmである。

 接眼して用いる電子ファインダー(EVF)の表示画素数は,144万ドット(RGBを1画素として800×600(48万)画素)と多い。「世界で最もきれいなEVF。開発で最もこだわった」(松下電器産業)。EVFにはRGB3色を切り換えて表示するフィールド・シーケンシャル(面順次)方式の液晶パネルを用いた。フレーム速度(面切り換え速度)は180Hzで,非フィールド・シーケンシャル方式の液晶パネルにおける60Hzに相当する。色再現範囲は,NTSC比で90%以上という。同液晶パネルは,他社が開発・製造したもの。もともとの用途は放送局用カメラのファインダーだった。

 ユーザーが撮影時にEVFに接眼すると,映像の出力先が自動的に本体背面の液晶モニターからEVFに切り替わる機能を備えている。接眼の検出には赤外線式の「アイセンサー」を用いた。本体背面液晶モニターは,46万ドット(RGBを1画素として480×320(約15万)画素)の3型品である。本モニターは可動式。左右180度,上下270度までモニター部が回転する。

 オートフォーカスはコンパクトカメラと同様に,撮影用撮像素子を利用したコントラスト検出方式だが,合焦速度が極めて速い。松下電器産業によれば,一眼レフ機で用いる位相差検出式オートフォーカスは,合焦に約0.2秒~0.5秒かかる。今回のDMC-G1は,一般的には合焦速度が遅いコントラスト検出方式ながら,約0.3秒でピントが合うという。ただし,この所要時間は,標準ズーム・レンズでピントが合う位置を無限大から2mに切り換えた場合である(関連記事:「Leicaレンズも出すつもり」,松下の新一眼の企画者に聞く)。

 ある程度カメラに関する知識を持ったユーザーにとって,使い手のある機能も備えている。シャッター・スピード効果のプレビュー・モードである。例えば,ユーザーが動きの激しい被写体の撮影に向けて,最適なシャッター・スピードを模索できる。実際に撮影し再生しなくても,動きを止めた方が印象深く写るのか,それとも少し像が流れた方がよいのか,といった検討をユーザーは行える。

 想定実売価格は本体のみで8万円,35mmフィルム換算の焦点距離が28~90mmで開放F値が3.5~5.6の標準ズーム・レンズを付属した場合に9万円。さらに焦点距離が90~400mmで開放F値が4.0~5.6の交換レンズも付けると12.5万円である。交換レンズは光学式手振れ補正機構を備えている。

 このほかの主な発表内容は以下の通り。
- DMC-G1は動画撮影機能を一切備えていない(関連記事:「“一眼”で本当のハイビジョン」,松下が2009年春にAF機を発売
- HDMI端子を内蔵
- 2007年秋から松下電器産業がコンパクト機に搭載している撮影シーンの認識に基づく撮影モードの自動決定機能「おまかせiA」を搭載。レンズ交換式カメラで同種の機能を搭載するのは初めて
- 有効画素数は1210万
- 画像処理LSIは「ヴィーナスエンジンHD」。低周波の雑音除去などに優れるという
- 撮像素子へのゴミの付着を回避する装置を搭載。5万回/秒の超音波振動を用いる
- 月産台数は1万5000台(レンズ1本セットが6000台,2本セットが8000台,本体のみが1000台)
- 製品名のG1はGeneration 1の意味
- 「かっこよくないと受け入れられない。だから本体色を三つ用意した」(松下電器産業)。本体色は黒のほかに,赤系色と青系色がある
- 宣伝キャラクターは樋口可南子さん

【動画】「LUMIX G1」をビデオでご覧いただけます(制作=BPtv)

◆続報
「Leicaレンズも出すつもり」,松下の新一眼の企画者に聞く
「“一眼”で本当のハイビジョン」,松下が2009年春にAF機を発売

◆液晶パネルの画素数に関する記述を修正しました(9/14 1:45)

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