キヤノンが「DIGIC 4」に盛り込んだ驚きの機能・仕様
キヤノンは2008年9月17日に開催した新製品発表会において,自社設計のデジタル・カメラ向け画像処理LSI「DIGIC 4」に関し,次の2点を日経エレクトロニクスに対して明らかにした。
(1)HDTV動画(1080/30p)のH.264符号化/復号化を,DIGIC 4が実行すること。
(2)同符号化で,過去と将来を参照するフレーム間予測「Bフレーム」を使わないこと。
(1)において,どこまでを専用回路化しているか,といった詳細は確認できなかったが,特にコンパニオン・チップなどは併用していないという。キヤノンは今後,自社の全デジタル・カメラにほとんど同じ仕様のDIGIC 4を搭載する意向。このため,安価で動画機能が充実していないカメラではオーバースペックになるが,「量産効果を追求するための措置」(同社の説明員)という。同社におけるDIGICの消費個数は,年間3000万個近くに達する。
用いたプロセス技術の世代は非公開。1cm×1cmほどの半導体パッケージに載ったダイを見ると,チップ面積がさほど大きくないことから,かなり先端の世代を用いたと考えられる。なお,DIGIC 4を搭載していてもユーザーが実際に利用できる機能は,機種によって大きく異なる。DIGIC 4は以下の機種に搭載されることが決まっている。
EOSシリーズ 5D Mark II,50D
IXY DIGITALシリーズ 3000 IS,920 IS
PowerShotシリーズ G10,SX1 IS,SX10 IS
(2)の狙いは,消費電力や回路規模の抑制,そしてユーザーの利便性の向上にある。「HDTV動画の再生を止めて一枚のフレームだけを切り出しても,きれいな写真として楽しめるようにしたかった。画像をあまり圧縮しないRAW形式で撮るユーザーが少なからずいることから明らかなように,ユーザーは(長時間録画よりも)高画質を求めている」(同社の説明員)。
Bフレームという強力な符号化ツールを使わないため,符号化速度(ビット・レート)は高めになる。ただし,キヤノンはフレーム速度を60フレーム/秒ではなく30フレームに限るなどして符号化速度を抑制した。具体的には,約6Mビット/秒である。
このほか,記者会見ではDIGIC 4の機能が紹介されていた。中でも興味深かったのは,強力な顔検出と動体追尾が同時に実行できることである。デモでは検出した顔を黄色枠で,動きを検出した部分を青枠で示していた(実演の様子,4.5Mバイトの動画)。
顔検出では同時に最大35人の顔を見つけ出し,そのうちユーザーにとって重要と思われる上位9人の顔に,ピントなどの撮影条件を自動的に設定する。動体追尾では,その結果に応じたISO感度やシャッター速度の自動設定が可能になった。被写体の動きを検出する能力は,「DIGIC 3の約10倍」(説明員)という。












