Tech-On!のテーマ・サイト「電子部品」では、「iPhone 5s/5c」向け電子部品の需給動向に関する記事と、米国での重要な特許判決を詳細に解説した記事が、この1カ月間(10月10日~11月6日)によく読まれた。

 トップとなった「足りない「5s」と余る部品、台湾に見る「iPhone」生産動向」は、人気コラム「台湾・中国 中根レポート」の一つ。「iPhone」の生産を担っている台湾電子業界の生産動向から、最新の旗艦機種「iPhone 5s」と廉価機種「iPhone 5c」の生産状況と、それに対応した電子部品の発注状況などを紹介している。

 著者は、「5s」が指紋認証機能や関連ソフトなどの供給の遅れから、組み立て開始時期がずれ込んだと指摘している。出荷開始を確認できた時期は、計画から7週間遅れたという。「5s」の品不足は、需要が旺盛であるからではなく供給が少ないことによる可能性も示した。部品の調整リスクが、2014年第1四半期にも訪れる恐れがあると警告する。スマートフォン以外の製品の生産状況もデータを基に示している。

 2位となった「米国が“特許の怪物”を牽制する判決」は、無線LAN製品の利用に欠かせない特許を持つ企業が米マクドナルド社や米スターバックス社などを特許侵害で訴えていた裁判の判決から、米国の特許制度改革の方向性を解説した記事だ。他メディアでは、ほとんど紹介されていない目立たない判決から、極めて重要なトレンドを解説できるのは、豊富な経験と知識に基づく著者ならではのことだ。

 記事でポイントとなるのは、標準仕様に準拠する上で欠かせない「標準必須特許」の価値である。コラム「グローバル知財経営のすゝめ」で、著者は一貫してその評価基準の重要性を説いている。今回の判決では、標準必須特許のロイヤルティ料率を特許所有者の要求の1/100とした。標準必須特許の乱用を抑えることにつながる。