老朽化した社会インフラの保守・管理が、先進国共通の社会課題となっている。膨大な通信インフラを抱えるNTT(日本電信電話)グループは、保守・管理を多様な技術によって効率化する取り組みを数年前に本格化させた。2013年10月17~18日にNTTが開催したシンポジウム「つくばフォーラム2013」における展示から、その技術を紹介する。

図1 老朽化対策が求められるNTTのインフラ
「つくばフォーラム2013」での掲示パネル。許可を得て撮影した
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 NTTグループは、1200万本の電柱、62万kmに及ぶ管路、68万個のマンホールを保有している(図1)。その多くが老朽化しており、例えば管路とマンホールの約80%は、設置から30年以上を経過している。一方、ユーザー数は人口の減少とともに減っていく可能性が高い。同グループは、ダムや橋梁などの老朽インフラを抱えて、人口減少に直面している国や自治体と同じ構造の問題を抱えている。

 NTTグループでは、ネットワーク・サービスの研究開発を進めているアクセスサービスシステム研究所が、インフラ設備の研究の方向性を建設から保守へシフトした。かつての大きな研究テーマは、光ファイバ・サービスの網羅的な提供技術だった。インフラ設備を効率的に維持するために同グループが現在進めているのは、インフラ延命技術と言える。