NMEMS技術研究機構 グリーンセンサネットワーク研究所 つくば研究センター長の伊藤寿浩氏
筆者が撮影
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図1 開発中のセンサのイメージ
出典:ナノ・マイクロ ビジネス展(7月3日~5日、東京ビッグサイトで開催)と併設の「社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト(平成23~26年度) グリーンセンサ・ネットワーク(GSN)プロジェクトセミナー」での伊藤氏の講演「見えてきたグリーンMEMSセンサ端末の姿」
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社会インフラが求めるセンサ・モジュールとはどのようなものか。セブン-イレブン・ジャパンや東京電力による実証実験を、センサの開発などから支えているNMEMS技術研究機構 グリーンセンサネットワーク研究所 つくば研究センター長の伊藤寿浩氏が「見えてきたグリーンMEMSセンサ端末の姿」と題した講演において解説した。目指すセンサは、無線通信機能と電源を備えて、コストは1000円で、敷設は貼るだけだ(関連記事1「見えてきた「バンソウコウ・センサ」、1枚1000円で貼るだけ」)。

 伊藤氏らが進めているNMEMS技術研究機構による「グリーンセンサ・ネットワーク・プロジェクト」。ここで開発を進めているセンサ・モジュールは、社会インフラが求める姿に少しずつ近づいてきたと同氏は言う。

 社会インフラ向けに求められるセンサ・モジュールは、小型かつ軽量で、建物や機器などの外観を損なわずに簡単に配置でき、メンテナンスや交換などの手間が少なく、低コストで湯水のようにばらまくことができるものである。さらに、センサ素子が検出した物理量や光学的な情報を、その場で信号処理し、その結果をインターネット上などに無線で送信できなければならない。しかも、このような検出や信号処理、送信を、故障や電池切れなどがなく、できるだけ長期間、継続することが求められる。

 こうしたセンサ・モジュールとして、同センターでは、例えば、赤外線アレイ・センサ・モジュールを開発している。絆創膏のように、貼るだけでセンサ・ネットワークを構築できるものである。MEMS(微小電子機械システム)の応用による赤外線センサを高集積化した上で、信号処理用のIC、無線通信用デバイス、樹脂によるフレキシブルな基板に形成されたアンテナまで重ねて一体化し、20mm×45mmに小型化した構造である。今後、このデバイスが自立的に機能できるように、電源を集積する開発を進めていく(図1)。