ultra wideband

 UWBという名の由来は非常に広い帯域にわたって信号を送るところにある。2002年2月に米連邦通信委員会(FCC)が規制を緩和して,民生利用への扉を開いた。FCCにおけるUWBの定義によると,ピークから10dB低下した周波数範囲を利用可能な周波数としたときに,利用周波数幅をピーク周波数で割った値が0.2よりも大きいか,またはこの周波数幅が500MHzを超えるものとしている。放射強度については,3.1GHzから10.6GHzの間ではFCCのPart15で規定される不要輻射のレベルである?41.3dBm/MHzよりも下で展開する。それ以外のところでは,屋内,携帯型機器の屋外利用についてそれぞれ制約が設けられている。

 日本では2006年8月1日付の官報(号外第176号)で,総務省告示として正式に発布され,UWB技術の民生利用が解禁となった。USB Implementers Forum(USB-IF)がWireless USBの利用に想定する14バンドについて,米国ではすべてのバンドを利用可能だが,日本で利用できるバンドは限定される。例えば低域バンドで当初利用できるのは,中心周波数4488MHzのバンド1本のみとなる。低域バンドの利用には,ほかの無線サービスとの干渉を低減する技術(いわゆるDAA)の採用が求められるが,現在までのところ,DAAの仕様は明確に決まっていない。4488MHzのバンドは2008年末までDAAなしで利用できるので,事実上唯一の利用可能帯域となる。

 一方で高域バンドに関しては,五つのバンドが利用できる。長期的には,制約の多い低域バンドではなく,高域バンドの利用に期待が集まりそうだ。

図 USB Implementers Forum(USB-IF)がWireless USBの利用に想定する14バンドについて,世界の主要な市場における利用の可否を示した。(図:USB-IFの資料を基に本誌が作成)
図 USB Implementers Forum(USB-IF)がWireless USBの利用に想定する14バンドについて,世界の主要な市場における利用の可否を示した。(図:USB-IFの資料を基に本誌が作成) (日経エレクトロニクス2006年8月14日号より抜粋)