第1部<総論>
Gビット超の無線通信が魅力
絵空事から現実に

 非圧縮でHDTV映像データを伝送する。タッチ&ゴーで音楽データや映像データを瞬時に携帯機器に移動させる。こんな使い方を求める声が増えてきた。必要になるのが1Gビット/秒を軽く超える通信。無線を使って実現する有力な手段がミリ波である。ミリ波通信には,使いにくい,コストが高いといった課題があった。しかし,技術の進展でCMOS技術がミリ波帯にリーチをかけ,低コスト化への道筋をつけつつある。使いこなしについても,車載レーダや業務用途で培った技術を転用できる。

第2部<ロードマップ>
ターゲットは2009年
設計技術で課題を超える

 ミリ波帯に向けた送受信ICをCMOS技術で実現するために,大学や研究機関,半導体メーカーなどの研究開発が活発化している。目指すは2007~2008年の学会デビュー。その後1チップ化,ロジック回路との集積化などが目標となる。ただし,CMOS技術適用には課題も多い。伝送損失の低減,周波数シンセサイザやA-D変換器の実現手法などに注目が集まる。課題解決に向け,設計技術での改善に関する議論が,あちらこちらで聞こえ始めた。