「IEEE802委員会も,よほど追い込まれたとしか思えない。こんな前代未聞の決定を下すなんて…」(ある部会参加者)。

 時速100kmを超える移動体でも高速無線アクセスを可能にする通信規格「IEEE802.20」が,存亡の危機に見舞われている。IEEE802委員会の上部機関である「IEEE-SA」議長は2006年6月15日に委員会メンバーに書簡を送り,802.20のすべての規格策定作業を2006年10月1日まで凍結する方針を伝えた。これにより,2006年7月と9月に予定されていた部会会合は中止された。直接的な理由は,策定中に発生したさまざまなトラブルにある。中でも米Motorola,Inc.,米Intel Corp.,そして802.20部会議長がそれぞれ訴えた3件の上告(アピール)が引き金となった。