日立製作所とYRPユビキタスネットワーキング研究所は,非常に低消費電力,しかも低コストで製造可能な近距離無線システムを開発した。広帯域無線システムのUWBを利用する無線規格「IEEE802.15.4a」に向けたもので,ボタン電池を主な電力供給源と想定するセンサ・ネットワークなどでの利用に向ける。受信回路では,低速なA-D変換器を並列化することで,消費電力と部品コストの大幅な低減を図る。利用する電波の周波数が数GHzと高いにもかかわらず,送受信回路の主な部品はCMOS技術で実装可能である。ボタン電池1個で5年程度と,これまでになく長寿命で部品コストの低いセンサ・ネットワーク端末の実現が見込める。また,誤差が30cm以下の測距精度を実現できることも確認したという。(野澤 哲生=本誌)

宮崎 祐行
日立製作所 中央研究所 センサネット戦略プロジェクト 主任研究員
前木 陽
日立製作所 中央研究所 無線システム研究部 研究員
小野 豪一
日立製作所 中央研究所 センサネット戦略プロジェクト 研究員
大熊 康介
YRPユビキタスネットワーキング研究所