Tech-On!の新春を飾る2大展示会と言えば,「International CES」と「North American International Auto Show(デトロイト・モーターショー)」です。今年も,それぞれ現地からお届けした速報記事に,多くの読者のアクセスが集まりました。ところが,アクセス数のランキングを見てギョッとしました。トップ10に入った記事は,ほとんどがデトロイト発のもの。CESからの記事は3本しかありません。例年は,もっとCESからの記事の注目度が高かったように思います。実際,昨年1月のアクセス・ランキングをひもといてみると,ニュース記事の1位はWarner社がBlu-ray支持に転向した理由を探ったCES発の記事,2位はCESの基調講演で150型PDPを披露した松下電器の記事。ちなみに3位は,インドの展示会で10万ルピーカー「nano」を発表したTata社の記事でした。

 今回のランキングに【デトロイトショー】印がひしめいている理由の一つは,自動車産業が大きな転機に立っていることでしょう。米国の「グリーンニューディール政策」などが地球環境に優しい技術の開発を後押しする中,自動車はこれまでとは異なる乗り物になろうとしています。ニュース・ランキングの5位までがすべてハイブリッド車の話題で占められたのは,その象徴なのかもしれません。一方のデジタル家電の側では,業界全体を巻き込んだ新しい技術開発の方向が見えにくくなっています。昨年のCESで話題を呼んだ,次世代光ディスクの規格争いやテレビの大画面化・薄型化に匹敵する大きなうねりは,記事を読む限りなさそうです。何より,かつての携帯電話機や薄型テレビのように,誰もが飛びついて膨大な市場を形成するデジタル家電の新星商品が,一向に現れる気配がありません。

 筆者は,そんな製品はもはや現れないのではないかと疑っています。ただしこれは,デジタル家電の市場が今後は縮小するという意味ではありません。これからのデジタル家電は,大多数の消費者を引きつける機器が市場を盛り上げる代わりに,多種多様な機器がたくさん生まれることで,一つ一つの市場は小さくても,全部を合計すると巨大になる,といった方向に行くのではないでしょうか。インターネットで情報を発信するサイトの仕事をしていると,このことを身に染みて感じます。Tech-On!のページビューをみると,一つ一つの記事のビューは小さくても,それを合計することで大きなビューになることがよくあります。いわゆるロングテールというやつです(いささか古くさい響きですが)。デジタル家電の市場が本当にそうなるかどうかは分かりませんが,これからは,数は少なくても熱狂的なユーザーを獲得する製品作りが求められるような気がしてなりません。


1月12日~16日のニュース・ランキング


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