図1 2009年のキー・トレンド
図1 2009年のキー・トレンド
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 2009年のテレビ市場の動向について,さまざまな意見があるが,筆者がこれはと思ったのが,「2009 International CES」における東芝の記者会見で呈示されたこのプレゼン・データである(図1)。Toshiba America Consumer Products, L.L.C. TV Group VPのScott Ramirez氏が,プロのコメディアン顔負けの話術でテレビ市場を語るのが,毎年の記者会見の楽しみだ。

 今年は特に面白く,ためになった。第1に,液晶テレビでもう黒が再現できるのは当たり前で,これからは「階調」が画質のポイントになるということ。第2に,液晶テレビのフレーム周波数で120Hzはもう古く,240Hzが焦点であるということ。ここまでは,「なるほど」という感じだが,3番目が面白い。

 「薄くすることに何の意味があるのか?」という主張だ。これは他社のような超薄型テレビがない東芝の遠吠えのようにも思えるものの,実際のところ確かに各社はそれなりに展示しているが,それをみてもあまり感動はない。昨年のCESでは,テレビの薄型化が大きな話題だった。他社に先駆けて薄型化を実現したメーカーには大いに注目が集まった。しかし,今年はあまり言及されない。すでに液晶テレビで9.9mm以下の製品が2008年秋から登場(ソニー)した後では,それが8mmになろうと,6mmが達成されようと,誤差の範囲だ。20cmが2cmになるのは確かに凄かったが。