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【CES】なぜWarner社はBlu-ray支持に回ったのか,2007年の次世代DVD戦争を総括する

浅川 直輝=日経エレクトロニクス
2008/01/08 22:10
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図1 Warner社のBlu-ray Disc支持で,Blu-ray Disc陣営に属する米映画会社のDVD販売シェアは約70%に (画像のクリックで拡大)

 米Warner Bros社,Blu-ray Disc支持へ――。2006年春に幕を開けた次世代DVDの規格争いは,2008年に入って新局面を迎えた(Tech-On!関連記事)。

 2006年春に初めてプレーヤーが登場した次世代DVD規格は,2007年から本格的な普及期に入り,プレーヤーやパッケージ・メディアの販売台数は前年よりも大きく伸びた(Tech-On!関連記事)。2008年を迎えるに当たり,2007年末までの次世代DVD争いの動向を,両陣営の発表に基づいて総括したい。図のデータは「2008 International CES」におけるBlu-ray Disc Associationの発表を参照した。

 HD DVDプレーヤーは,2007年11月に東芝の廉価版プレーヤー「HD-A2」が一時的に99米ドルで売り出されるなど,赤字覚悟とみられる戦略的価格で販売台数を伸ばした。これまでに米国内で販売されたHD DVDプレーヤーの累計台数は,Xbox 360の外付け再生装置を含めて約100万台に達するという。

 これに対して,Blu-ray Discプレーヤーの累計販売台数は50万台ほど。これにPlayStation 3(PS3)の販売台数である350万台前後が加わるので,単純計算なら約400万台とHD DVDを圧倒する。ただし,消費者がPS3を購入する目的の多くはゲームにあるので,その点を割り引く必要がある。PS3をBlu-ray Discプレーヤーとして常用するユーザーは,一説には全体の1/4以下という。仮に1/4と仮定すると,実質的な普及台数は140万台ほど。ハードの普及競争で,HD DVDは決してBlu-ray Discに引けをとっていない。

 では,パッケージ・メディアの販売本数はどうか。2007年1月当時は,PS3が大量に普及するという期待から「今後はBlu-ray Discメディアの販売本数がHD DVDを大きく引き離す」との予測があった。だが実際には,月ごとの販売本数はBlu-ray Discが6割,HD DVDが4割でほぼ一定しており,大差がつくには至っていない。


図2 2007年のパッケージ・メディア販売本数のシェアは,Blu-ray Discが64%,HD DVDが36%となった (画像のクリックで拡大)

両者の拮抗がWarner社を動かした?

 Warner社はこれまで,Blu-ray DiscとHD DVDの両規格にコンテンツを提供する,いわば日和見的な立場を採っていた。では,まだ規格争いの決着がつかないこの段階で,Blu-ray Disc支持に回ったのは何故か。ネット上では,金銭の授受を含めてさまざまな噂が飛び交っている。だが,金銭の授受はもしあったとしても表層の問題に過ぎない,Warner社がBlu-ray Disc支持に動いた本質的な理由は,まさにBlu-ray DiscとHD DVDが,上に挙げたような拮抗状態にあったからだ,と記者は考える。

 米国におけるDVDの売上高は今,年率3~4%というペースでゆっくり落ち込んでいる。DVDの売り上げ減を補うためには,次世代DVDの市場を一刻も早く立ち上げる必要がある。それには規格を一本化して消費者の混乱を解消するべきだ。Warner社を含め,米国の映画会社の多くはこのように考えているはずである。

 だが,説明したとおりBlu-ray DiscとHD DVDの勢力は拮抗しており,当分は決着がつきそうにない。Warner社は,自らがどう動けば規格が一本化できるかを考えたに違いない。答えは簡単だ。Blu-ray Disc陣営に属する映画会社の多くがHD DVDになびかない以上,自らがBlu-ray Disc陣営に飛び込んで流れを変えるしかない。

 実際Warner社は,HD DVD陣営に最も大きなダメージを与えるタイミングでBlu-ray Disc陣営の支持を表明した。すなわち, 2008 International CESの直前での発表である。HD DVD規格の推進団体であるHD DVD Promotion Groupは,CESで予定していた記者会見を中止せざるを得なくなり,そのことがHD DVD陣営の動揺ぶりを世間に知らしめることになった。

 両陣営のプレーヤーの販売シェアが拮抗する現状では,すぐに規格争いに決着がつくとは考えにくい。だが,次世代DVD争いは当分の間,Warner社の動きに対する米映画会社の反応次第で大きく揺れ動くのは間違いなさそうだ。

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