携帯機器関連のニュースをお届けするテーマサイト「モバイル」で,2008年に最もアクセス数が多かった記事は,「 有機ELや電子ペーパーなど,KDDIが春モデル10機種を発表」である。
▼ 2008年「モバイル」記事ランキング
1位のKDDI新機種の記事を始めとして,ランキングには各携帯電話事業者の新機種に関する話題がズラリと並んだ。「有機EL」や「Flashコンテンツ対応」,「800万画素CCD」,さらには「健康管理機能」と,携帯電話機の機能向上が今年も大きく進んだことを示している。
さて,それでは2009年には,どのような新機能に関する話題が出るのだろうか。我々が注目しているキーワードは,「LTE」,「プロジェクター」,「非接触充電」,そして米Google Inc.が開発したソフトウエア・プラットフォーム「Android」である。
次世代の移動体通信規格である「LTE(long term evolution)」は,基地局から端末までのデータ伝送速度を従来の10倍以上に高めることが可能になる。2008年までは,限定的な伝送実験に関する報告が中心だったが,2009年にはいよいよ,携帯端末型の試作機に関する報告がありそうだ。LTEに対応するチップセットの発表も多くなるだろう。ただし,商用サービス開始に関しては,もうしばらく待つ必要がある。米国のサブプライム・ローン問題に端を発した世界的な経済危機の影響で,携帯電話事業者のインフラ構築計画も,大きく影響を受けている。LTEサービスの開始時期も,1年以上先送りになるのでは,という見方も出ている。いずれにしろ,「LTE」というキーワードに関する記事は,数多く登場することになりそうだ。
プロジェクター機能の組み込みに関しては,賛否両論ある。携帯電話機のような小型の機器に,プロジェクターを無理に組み込もうとすれば,当然筐体は大きくなるし,消費電力が大きいことから駆動時間が短くなり,実用性が低くなるというものだ。確かに,その指摘は正しい。しかし,それでも私がプロジェクター機能に興味を持っているのは,「なんちゃってプロジェクターでも十分だ」と思っているからだ。現行の業務用途をそのまま実現することは難しいかもしれないが,エンターテインメント的な「遊び」の要素の強い新しい使い方を,ひょっとすると創造するかもしれない。 NTTドコモやKDDI,ソフトバンクモバイルなど多くの事業者が,携帯電話機とプロジェクターとの連携に関心を持っている以上,2009年も何らかの話題が登場するだろう。
非接触充電に関する話題も多くなりそうだ。携帯電話機やデジタル・カメラなどの携帯機器を,専用の充電台の上に載せるだけで,充電するという技術である。電源ケーブルなどを接続する必要が無いことから,新しい携帯機器のデザインを実現するものとして期待を集めている。ただし2009年においては,要素技術に関する発表が中心で,携帯電話機に搭載されるというニュースまで登場するかどうかは不透明だ。国内よりも海外から,こうした話題が登場するかもしれない。
最後がGoogle社のAndroidである。既に,米T-Mobile社の「 G1」など,海外では搭載機種が発売されているが,2009年は国内メーカーからの話題が出てくることになりそうだ。Androidに代表されるオープンなプラットフォームの登場で,携帯電話機の機能と,それを取り巻くビジネスモデルも,大きく変わって行くことになりそうだ。