HDTV映像に対応した米NVIDIA社の試作端末
HDTV映像に対応した米NVIDIA社の試作端末
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 「次はHD映像処理」との声が,携帯電話機向けに部品を開発するメーカーを中心に強くなり始めた。テレビやHDDレコーダー,ビデオ・カメラで標準機能となりつつあるHD映像処理が,いよいよ携帯電話機に迫ってきた。

 HD映像処理を担うアプリケーション・プロセサは,既に海外の半導体メーカーから登場している。米Broadcom Corp.が2007年10月,2008年2月には米NVIDIA Corp.と米Texas Instruments Inc.(TI社)がそれぞれ発表した。いずれも,1280×720画素で30フレーム/秒のHD映像を符号化/復号化できる。国内では,ルネサス テクノロジが1920×1080画素のフルHD映像を処理できるプロセサを開発中。こうしたプロセサを採用する携帯電話機は,「早ければ2009年中に市場に投入される」(Broadcom社)見込みだ。

 製品化の上での課題は,符号化や復号化処理時の消費電力。携帯電話機が搭載する容量が1000mAh以下のLiイオン2次電池を用いて,HD映像を数時間処理できる必要がある。各社のLSIは,処理の大半を専用のハードウエアで実行して低消費電力化を図っている。Broadcom社の開発品では,HD映像の符号化に必要な消費電力は450mWである。

HDMIでテレビと連携

携帯電話機の画面サイズには限界があるため,HD映像に対応する携帯電話機は,テレビなど他のデジタル機器とつながるようになる。例えば,携帯電話機で撮影したHD映像を,大画面のディスプレイで視聴するといった使い方ができる。

 携帯電話機をテレビなどと接続するために,HDMI端子を携帯電話機に搭載する動きが活発化している。課題はコネクタのサイズである。HDMIの仕様「HDMI 1.3」では,これまでの標準である「Type A」コネクタよりも小型化した「Type C」を定義している。それでも,携帯電話機に搭載するには「現行のType Cに対して半分程度の大きさにする必要がある」(HDMI主導メーカーの技術者)という。

 HDMIの主導企業グループは現在,携帯電話機に向けた専門のプロジェクトを立ち上げており,コネクタの形状や端子数を議論している。この動きとは別に,米Silicon Image社が独自開発の小型HDMI規格「MHL(mobile high-definition link)」を提案している。早ければ2009年中に,携帯電話機向けのHDMI規格が策定されそうだ。

 詳しくは,日経エレクトロニクス2008年5月19日号の特集「手のひらHDTV,ケータイを変える」をご覧下さい。

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