high-definition multimedia interface

 ベースバンドのデジタル映像信号をディスプレイに伝送するためのインタフェース仕様。パソコンで広く使われている「DVI(digital visual interface)」と互換性を保ちつつ,民生機器への搭載を想定して複数の工夫を盛り込んだ。例えばDVIに比べコネクタを小型化している。さらに1本のケーブルでベースバンドの映像データに加えてオーディオ・データを一緒に伝送できる。RGB信号だけでなく,テレビ受像器で一般的に利用する輝度/色差信号を伝送可能。変換コネクタや変換ケーブルを用いれば,HDMIはDVIの端子と接続することも可能になる。HDMIは,不正コピー防止技術「HDCP」の実装がほぼ前提となっている。

 HDMIのデータ信号線の数は3対で,DVIと同様に米Silicon Image社が開発した差動伝送技術TMDS(Transition-Minimized Differential Signaling)を利用する。8ビット分のデータを10ビットに符号化して1サイクルで転送するもので,3対の信号線とは別にサイクル時間に同期させたクロック線を設ける。すなわち1サイクル当たり,RGBの各8ビット,合計24ビットの情報を伝送できる。

 2006年6月に登場した「HDMI 1.3」では,信号線1対当たりのベースバンド信号の伝送速度は最大3.4Gビット/秒で,ケーブル1本当たりの伝送速度は最大10.2Gビット/秒と,現行の「HDMI 1.2」に比べて伝送速度を約2倍に高めた。これにより,RGB形式の色階調数を最大各16ビットに高めた48ビット・カラーや,フレーム周波数を120Hzに高めたフルHD(1920×1080p)の映像信号を伝送できる。現行のHDMI 1.2でフルHDの映像信号を伝送する場合,RGB形式やYCbCr(4:4:4)形式では最大各8ビットの24ビット・カラーの映像信号しか伝送できなかった。このほか,新たな動画用色空間規格「xvYCC」にも対応したり,ビデオ・カメラや携帯型AV機器への搭載を視野に入れて,小型のコネクタを新たに規定したりしている。

 HDMIの仕様を策定するのは,米Silicon Image社とオランダRoyal Philips Electronics社,フランスThomson Multimedia S.A.,ソニー,東芝,日立製作所と松下電器産業の7社である。

HDMI 1.3の概要
(日経エレクトロニクス2006年7月3日号より抜粋)
HDMI 1.3の概要