パソコン用グラフィックス・プロセサ(GPU)で米Intel Corp.に次いで2位につける米NVIDIA Corp.は2008年2月11日,携帯機器向けアプリケーション・プロセサ「APX 2500」をスペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2008」で発表した。

 最大の特徴は720pのHD動画の符号化/復号化機能を備えること。これによって,携帯電話機で720pの動画を撮影し,家庭などに帰ってリビングにあるテレビにつないで720pの動画再生を楽しむことができる。いわば「ハイビジョン・ケータイ」である。「これまでの15年間のグラフィックス関連技術を生かした」(General Managere of the Mobile business unitのMichael Rayfield氏)という。また3次元グラフィックス機能を備え,デスクトップ・パソコンと同等のユーザー・インタフェースを実現できるほか,1200万画素の動画/静止画の画像処理機能を備える。CPUコアはARM 11 MPで,256KバイトのL2キャッシュを混載している。低電力技術「nPower」を搭載し,10時間以上のHD動画再生や100時間以上のMP3音楽再生が可能であるという。アプリケーション・プロセサとベースバンド・プロセサを1チップ化する方向性もあるが,「モデムを機器メーカーが選択できるようにする」(Rayfield氏)ため別チップ構成にした。

 対応するOSはWindows Mobile。2008年第2四半期中に出荷を始める。2008年中にPND(簡易型カーナビ)や携帯型音楽プレーヤーの採用機種が登場し,携帯電話機への採用は2009年になると見込んでいる。

(Mobile World Congress 2008に関するレポート記事を,日経エレクトロニクス3月10日号に掲載します)


【訂正】記事掲載当初は「同社としては初めてのアプリケーション・プロセサとなる。」としておりましたが,誤りでしたので削除しました。お詫びして訂正いたします。