2008年は「大きな転換点になる」。英ARM Ltd.でDirector of Mobile Solutionsを務めるRob Coombs氏がMobile World Congress 2008の会場で語った言葉だ。その理由をCoombs氏は,(1)スマートフォンの普及により,携帯電話機がインターネット機器になる,(2)ユーザー・インタフェースを構成するグラフィックスの3次元化,(3)これらを実現する新アーキテクチャ採用製品の登場,である。

 (1)は端的に言えばパソコンと携帯電話機の融合を意味している。実際の例としてフィンランドNokia社の「N810」を挙げ,「Intel社製マイクロプロセサを搭載したパソコンと,ARM社のコアに基づくマイクロプロセサを搭載したインターネット機器で,Webブラウザの利用体験はまったく変わらない。米Adobe Systems社のFlashを利用したコンテンツでも問題ない」(Coombs氏)。

 (2)のために,同社ではグラフィックス・コアの提供を始めた。MWCの会期中には,既存のグラフィックス・コア「Mali55」と「Mail200」の利用に特化したSVG(scalable vector graphics)やJava 2D向けのソフトウエアの提供を発表した。

 (3)は同社の「Cortex-A8」を搭載した製品が2008年後半に出てくるという。Cortex-A8世代の機器では,HD動画の符号化/復号化をリアルタイムに実施できるほか,3次元グラフィックスなどを標準で備えるようになるという。「携帯電話機でHD動画の録画/再生はオーバースペックに感じるかもしれない。しかし携帯電話機のカメラがだんだん高水準になっていったように,動画に関してもクオリティの高いものが求められるのは自然な流れだ。それをプロジェクタやテレビなどに接続して見るようになるだろう」(Coombs氏)。