アクセス記事ランキング(1/10~2/5)
産業機器・部材
1 超硬合金の切削加工
2 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)
3 8K内視鏡を利用した動物手術に成功、「腹腔内に自由な空間が得られる」
4 セルロース・ナノファイバー(CNF)
5 IDC Japan、2017年までの3Dプリンターの世界市場を予測---年間平均成長率は台数ベースで59%
6 「会議のスタイルを変える」、シャープがタッチパネル付き70型ディスプレーを発売
7 NECが新設の神奈川データセンターを公開、新規開発の高集積サーバーなどを披露
8 JSRの潜熱蓄熱材料「CALGRIP」が省エネモデルハウスで採用に
9 ホットメルト接着剤
10 着るだけで心拍数や心電波形の計測が可能に---東レ、NTT、ドコモが共同で機能素材を開発
11 ダイハツの軽自動車は、オール樹脂ボディー ポリカーボネートや熱硬化性樹脂を採用
12 JOGMEC、南鳥島沖の公海でコバルトなどを含むレアメタル鉱床を探査へ
13 悲願は国産ジェットエンジン
14 ウェザーニューズの超小型衛星「WNISAT-1」、民間衛星として世界で初めて画像の撮影に成功
15 アイリスオーヤマ、発光効率170lm/Wの直管形LEDランプを1万2500円で発売
16 事例3:ボールペン×消しゴム―フリクション[パイロット]
17 「自分だけの心臓専門医を携帯」、スマホ連携可能な個人用の12誘導心電計「smartheart」が発売
18 ホンダ、エンジン式汎用ポンプを改良し、燃費を最大10%向上
19 三菱化学、車載用のタッチパネル向けにバイオエンプラの新グレードを開発
20 大陽日酸、優れた導電性・熱伝導性を有するフッ素樹脂を従来の約1/1000のカーボン添加で実現

 日経テクノロジーオンライン(Tech-On!)のテーマ・サイト「産業機械・部材」で、ここ1カ月(2014年1月10日~2月5日)に最もよく読まれたのは、非常に硬い合金(超硬合金)を切削加工する手法に関するトレンドを伝えた記事『超硬合金の切削加工』でした。

 従来、超硬合金を加工する手法としては、単結晶ダイヤモンドの刃先を付けた工具を使って削ったり、放電や研削加工を用いたりする方法が一般的でした。ところが前者はコストが高く、後者は切削に比べて長い時間を要したり、加工精度が低かったりする課題がありました。これに対し、最近ではダイヤモンド薄膜でコーティングした超硬合金製の刃物で超硬合金を削る手法が使えるようになってきたと、本記事は伝えています。結果として、超硬合金製で長持ちする金型など、付加価値の高い部品を短時間、低コスト、高精度で生産できるようになってきています。

 この記事をはじめとして、この1ヵ月間は、雑誌や新聞、TVニュースに取り上げられるキーワードをピックアップし、解説する「キーワードで読み解く最新トピック」の記事が人気を集めました。特に、自動車向けを中心に高い期待を集める3種類の新素材に関する記事がよく読まれました。

 そのうちの第1は、『炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)』に関するもの。CFRTPは軽量・高強度の素材である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の一種で、母材に熱可塑性樹脂(加熱すると軟化し、冷却すると固化する樹脂)を使った素材です。

 母材に熱硬化性樹脂を使う従来のCFRPは生産に時間がかかり、コストも高いという課題がありました。自動車への応用について言えば、適用対象はスポーツカーや高級車にほぼ限られており、中位機種以下の自動車には適用しにくかった。これに対し、CFRTPは量産性に優れ、コストも安いために注目を集めています。記事では、強度や弾性率、耐衝撃性といった機械的な物性に劣るというCFRTPの課題を克服する、最近の開発成果を紹介しています。

 第2は、『セルロース・ナノファイバー(CNF)』に関する記事です。CNFは、植物繊維をナノレベルまで微細化して得られる植物由来の繊維。密度は鉄鋼の1/5で強度は同5倍以上、熱による寸法変化はガラスの1/50という優れた材料です。これを樹脂に添加することで、軽量・高強度で熱による寸法変化の小さな複合材料(CNF強化樹脂)を実現できます。例えば、自動車の車体重量の9%(約110kg)を占めるとされる樹脂部材をCNF強化樹脂で置き換えれば、約20kgの軽量化を実現できるとの試算があります。

 CNFを樹脂に均一に分散させようとした場合、これまではCNFと樹脂の相溶性(なじみやすさ)の低さなどが課題でしたが、こうした技術課題の克服が急ピッチで進んでいます。本記事では、化学品メーカーの星光PMCがCNF強化樹脂のサンプル出荷を2014年春に本格的に開始することなど、CNF強化樹脂の実用化の機運が高まっていることを紹介しています。

 第3は、常温では固体だが加熱すると溶ける『ホットメルト接着剤』に関する記事です。近年、ホットメルト接着剤を使って部品の軽量化や生産性の向上、設計自由度の拡大を図るケースが増えています。しかも、射出成形との組み合わせによる活用が広がっていることを本記事は伝えています。

 その適用事例の一つが、独Daimler社Mercedes-Benzブランドの新型「Aクラス」のクロスカービーム。独Evonik社のホットメルト接着剤「ベスタメルト」を使って、クロスカービームを従来比20%軽量化することに成功しました。

 自動車分野では、最近は自動運転やクラウドとの連携などエレクトロニクス/IT関連のニュースに話題が集中しがち。これに対し今回のランキングは、「新素材」が自動車の未来をもたらすもう一つの大きな要素であることを印象付けるものでした。ランキングの11位には、『ダイハツの軽自動車はオール樹脂ボディー ポリカーボネートや熱硬化性樹脂を採用』が入りました。2014年半ばには、ボディーの全てに樹脂を使う軽自動車が登場する見通しです。