視聴制御やコピー制御を目的とした従来のDRM技術の限界が見えてきた。コンテンツの海賊行為の防止に権利者が満足できるほどの効果を持たない一方で動画共有サイトに代表されるインターネット上の新しい活動を阻害してしまうからだ。「コンテンツをより多くのユーザーに届けたいが,それが生み出す価値は低下させたくない」。権利者のこうした閉塞感を打開するのは,コンテンツの新しい流通形態を実現する技術だ。従来の発想を超えて,新しいDRMの枠組みを用意する必要がある。(本稿は,日経エレクトロニクス,2008年3月10日号,pp.54-65から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
- 第1回:クリエーターへの対価還元とユーザーの自由の両立へ
- 第2回:ユーザーが拒否したDRM,音楽だけにはとどまらない
- 第3回:コンテンツの識別で,流通の価値をお金に変える
- 第4回:著作権法がどうあろうと,「翻案文化」は止められません
- 第5回:誠実なユーザーほど損をするのはおかしい≪追記あり≫
- 第6回:DRMは技術革新を妨げる手段となっている
- 第7回:DRM早わかりマップ