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コピーに自由を ―生まれ変わるDRM―(第5回)≪追記あり≫

誠実なユーザーほど損をするのはおかしい(米doubleTwist Corp. Jon Lech Johansen氏)

Phil Keys=シリコンバレー支局
2008/08/19 09:00
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今回のインタビューの相手は,Jon Lech Johansen氏。「DVD Jon」として知られるハッカーだ。(本稿は,日経エレクトロニクス,2008年3月10日号,p.57から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

Jon Lech Johansen氏 米doubleTwist Corp. 共同創業者,CTO


DVDのDRMを解除する「DeCSS」の共同開発者「DVD Jon」として知られるハッカー。2002年に起訴されたが無罪を勝ち取った。2007年2月に米doubleTwist Corp.を創業した。 (画像のクリックで拡大)

 Linuxが動作するパソコンで自分の購入したDVDを見たいと思ったので,DeCSSの開発に参加しました。その頃私はLinuxに夢中で,ほとんどの時間をパソコンの前で過ごしていました。Linux上でDVDを再生するソフトウエアは当時まだなく,再生するにはわざわざWindowsを立ち上げ直す必要があったのです。私は,著作物を盗む「海賊」に仕立てられかけましたが,自分で所有するDVDを鑑賞するためだったので法的な問題はないと思ったし,実際に無罪を勝ち取りました。

 Apple社のDRM技術「FairPlay」の解除機能を含むソフトウエア「doubleTwist desktop」を開発した理由の一つは,音楽業界でDRMフリーの音楽配信が主流になってきたからです。Apple社はデジタル音楽配信の世界を支配しています。iTSはDRMフリーの配信も始めていますが,既に販売済みの40億の楽曲データはFairPlayによって人質に取られたままです。Apple社を信じて真っ先にお金を払った誠実なユーザーほど損をするのはおかしいと思う。

 海賊行為を防ぐために,DRM(でコンテンツに視聴制御やコピー制御)を施すのは,もはや効果が薄い。現行のDRMの中核はデータの暗号化ですが,優秀な海賊は暗号を破れるからです。一方で,こうした技術を持たない善良なユーザーは自分の購入した曲を利用することに数々の制限を受けます。

 海賊行為の防止が目的であれば,電子透かしなどの技術を利用するべきです。暗号を利用する方法に比べると,ユーザーへの制限が小さいからです。例えば, Apple社がiTSで販売するDRMフリーの楽曲データは,ヘッダに購入者の電子メール・アドレスなどを記入しています。ユーザーの正当な利用は制限せず,海賊を判別できる良い手法だと思いますね。(談)

≪申し入れ≫インタビュー本文中にJon Lech Johansen氏が米doubleTwist Corp.のために開発したソフトウエアに関して,「Apple社のDRM技術「FairPlay」の解除機能を含む」という表現がありました。この表現について米doubleTwist社から以下のような申し入れがありました。「doubleTwist社のソフトウエアはFairPlayの暗号を破る機能を有しません。CDを作製してから再び取り込む作業に似たプロセスを使って,ユーザーにライセンスを持つ曲を録音する機能を提供するもので,この過程で若干の音質劣化を伴います」。

―― 次回へ続く ――

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