外資初の「ボンド」など多様な資金調達

――日本における開発資金は、幅広い国の金融機関から、さまざまな手法で調達しているようですね。

 日本にも、専属のファイナンスのチームを置いており、資金調達には、カナディアン・ソーラー・グループの自己資金以外にも、さまざまな仕組みを活用しています。

 例えば、コーポレートファイナンス(企業の信用力を担保にした融資)では、三井住友ファイナンス&リースと40億円のクレジット協定(立替払包括合意契約)を結んでいます(関連ニュース11)。

 また、三井住友銀行を主幹事とした、シンジケートローン(複数の金融機関による一つの契約書に基づく同一条件での融資)で総額96億円を調達しています。

 私募債も活用しています。米国の金融機関、プルデンシャル・ファイナンシャル・グループと契約し、総額約62億円を調達しています(関連ニュース12)。

カナディアン・ソーラー・プロジェクトのロイ社長
カナディアン・ソーラー・プロジェクトのロイ社長
(撮影:日経BP)

 私募債と似ていますが、プロジェクトボンドの手法を活用した資金調達の例もあります。米ゴールドマン・サックス証券がアレンジャー(組成者)となり、プロジェクトボンド信託受益権などにより、施工中の群馬県利根郡みなかみ町の約19MWでは約54億円(関連ニュース13)、稼働済みの青森県六戸町の約10.2MWでは約30億円(関連ニュース14)を調達しました。

 また、施工中の熊本県益城町の約47MWの案件では、プロジェクトファイナンスによりドイツ銀行から120億円を調達しています(関連ニュース15)。

 このほか、オランダの金融機関、ラボバンクの香港支店から35億円(関連ニュース16)、香港の投資会社Harvest North Star Capital社から4000万米ドル(同ニュース17)などを、日本における開発向けに調達した実績があります。

 海外の金融機関のみから調達している場合もあれば、日本の金融機関のみから調達している場合もあります。ゴールドマン・サックス証券によるプロジェクトボンドのように、海外と日本の金融機関が混合した形態もあります。ボンドの場合、債券を金融機関に売り、ゴールドマン・サックス証券は日本の金融機関に売っているようです。

 日本での開発では、基本的にプロジェクトファイナンスを活用しますが、小さな規模の発電所の場合、コーポレートファイナンスで調達した資金を充てることもあります。