あらゆる機器がネットワークに繋がる時代が,すぐそこまで迫っている。パソコンやデジタル家電に加え,自動車や白物家電,各種の業務用機器も例外ではない。いつでもどこでもネットワークに繋がることで,既に成熟した製品分野においても,これまでになかった付加価値を生むことができるからである。

 そのためのインフラとして重要なのが,携帯電話網である。極めて広範囲をカバーする携帯電話網を活用すれば,移動して利用する機器を常にネットワークにつなげられるだけでなく,据置型の製品でもケーブルが不要になるといった利便性を享受できる。こうした将来を見越して,携帯電話機事業者は伝送速度を大幅に向上できる次世代の通信規格を順次導入していく計画である。今後5年ほどの間に,最大100Mビット/秒級のサービスが続々と登場しそうだ

 ただし,あらゆる製品を携帯電話網につなぐには,通信路の改善だけでは不十分。端末側やサービス面でも,いくつもの課題がある。日経エレクトロニクスは,これらの課題を整理し,解決策を検討するセミナーを企画した。CEATEC JAPAN 2009と合わせて開催する「NEテクノロジー・シンポジウム2009@CEATEC」の一環として,二日間にわたり開催する。

LTEの契約数は,2013年に1億に達するとの予測がある(関連記事:携帯電話サービスは2013年に60億契約超に,LTEは1億)
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 初日の午前は「マルチバンド時代のRF回路設計」 と題し,端末側の課題であるマルチバンド化への対応を取り上げる。LTE(long-term evolution)など今後登場する通信規格は,一気に全国各地に広まるわけではない。このためW-CDMA/CDMA2000やGSMといった既存方式の送受信機能も併せて必要になる。複数周波数帯(マルチバンド)や複数方式(マルチモード)への対応が,現在以上に重要になるわけだ。今回のセッションでは,中でもRF回路の設計に焦点を絞った。マルチバンド/マルチモード対応携帯電話機のRF回路に向けたフロントエンド・モジュールを手掛ける村田製作所や,高集積のアンテナ・スイッチICを開発するPeregrine Semiconductor社が,それぞれの分野の最新動向を解説する。

 初日午後2時からのテーマは,「M2M(machine to machine)」である。機器と機器の間の通信を指し,自動販売機やガス/電力メーターからのデータ収集などを皮切りに,市場が広がり始めている。あらゆる機器がネットワークに繋がる時代には,人と人,人と機器の間の通信を凌ぐ規模に育つ可能性がある。今回のセミナーでは,NTTドコモがM2M市場向けの「FOMAユビキタスモジュール」について講演。日立製作所は,M2Mの用途の一つであるセンサ・ネットについて語る。

日本通信は,1分10円のデータ通信サービス「Doccica(ドッチーカ)」を展開している(関連記事:日本通信,「1分10円」の3Gデータ通信サービスを開始

 二日目は,「いよいよ動き出すMVNO」と題したセッションである。様々な機器が携帯電話網を利用する上で障害になりかねないのは,通信事業者との契約である。通信機能を内蔵する機器のユーザーが,携帯電話事業者と個別に契約しなければならないとすると,とたんに使い勝手が悪くなる。この問題の解決策の一つが,MVNO(仮想移動体サービス事業者)である。日本ヒューレット・パッカード(HP)が,2009年8月に発表した3G通信機能内蔵のネットブックでは,この手法を利用して無線ネット利用の敷居を下げている。今回のセッションでは,HPの取り組みを裏方で支えた日本通信に加え,総務省,クアルコムジャパン,マイクロソフトがそれぞれMVNOの将来像とその実現に向けた取り組みを解説する。

【開催概要】

RF回路セッション「マルチバンド時代のRF回路設計」
日時:2009年10月8日(木) 10:00~13:00(9:30開場)予定
会場:アパホテル 東京ベイ幕張 ホール2F(JR京葉線「海浜幕張」駅より徒歩5分)
主催:日経エレクトロニクス
協力:CEATEC JAPAN
受講料(税込み):読者価格1万6000円,一般価格2万円
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M2M(machine to machine)セッション「新たな時代迎えるM2Mコミュニケーション」
日時:2009年10月8日(木) 14:00~17:00(13:30開場)予定
会場:アパホテル 東京ベイ幕張 ホール2F(JR京葉線「海浜幕張」駅より徒歩5分)
主催:日経エレクトロニクス
協力:CEATEC JAPAN
受講料(税込み):読者価格1万6000円,一般価格:2万円
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MVNOセッション「いよいよ動き出すMVNO」
日時:2009年10月9日(金) 10:00~13:00(9:30開場)予定
会場:アパホテル 東京ベイ幕張 ホール2F(JR京葉線「海浜幕張」駅より徒歩5分)
主催:日経エレクトロニクス
協力:CEATEC JAPAN
受講料(税込み): 読者価格:1万6000円,一般価格2万円
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