図1 「MVNOのレベル2接続をようやく実現できた」と語る日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏
図1 「MVNOのレベル2接続をようやく実現できた」と語る日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏
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図2 ZTE社が製造する,USB接続型のデータ通信端末
図2 ZTE社が製造する,USB接続型のデータ通信端末
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図3 接続に利用するパソコン用ソフトウエア「bアクセス」を立ち上げると,通信エリア圏内かどうかを表示する。「3G」か「WiFi」のどちらかのボタンをクリックすると,接続が完了する
図3 接続に利用するパソコン用ソフトウエア「bアクセス」を立ち上げると,通信エリア圏内かどうかを表示する。「3G」か「WiFi」のどちらかのボタンをクリックすると,接続が完了する
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図4 ゲートウエイ機能「GGSN」を日本通信が持つ,いわゆる「レベル2接続」で実現したサービスである
図4 ゲートウエイ機能「GGSN」を日本通信が持つ,いわゆる「レベル2接続」で実現したサービスである
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 日本通信は,通信料が1分あたり10円のデータ通信サービス「Doccica(ドッチーカ)」を2009年3月23日に開始すると発表した(発表資料)。NTTドコモの第3世代(3G)移動体通信ネットワーク「FOMA」と,公衆無線LANアクセス・ポイントを利用するデータ通信サービスであり,ユーザーは事前にチャージした料金の分だけ利用できる。「パケットやMバイトといった単位での課金はユーザーにとって分かりにくい。定額制は,利用が少ない月にも決まった金額を支払わなければならないという問題がある。Doccicaは,そうした課題を解決する新しい料金体系だ」(日本通信 代表取締役社長の三田聖二氏,図1)。

 今回発表したサービスは,中国ZTE社が製造したUSB接続型端末を購入することで利用できる(図2)。端末の価格は1万4800円で,5000円分(500分)の通信料を含む。ユーザーは利用状況に応じて,1000円(100分)や5000円(500分)などの金額をオンラインで支払うことにより,追加した金額分の時間だけデータ通信サービスを利用できるようになる。「『Suica』のような電子マネーからヒントを得て考案した」(日本通信 セールス バイスプレジデントの沢昭彦氏)。

 時間制の料金体系が適用されるのは,FOMA網を利用して接続する場合である。Doccicaでは,他の事業者が運営する公衆無線LANサービスへのローミングも可能。無線LANサービスは,1事業者の利用につき1日当たり300円(30分)の料金がかかる。ローミングできる公衆無線LANサービスは「ホットスポット」「BBモバイルポイント」「エアポートネット」「FREESPOT」の4サービス。

 端末をUSB端子に接続して,Doccicaサービスの利用に用いるパソコン用ソフトウエア「bアクセス」を立ち上げると,FOMA網および無線LANアクセス・ポイントの通信エリア圏内かどうかを表示する。ここでどちらかのボタンをクリックすると,ユーザーIDやパスワードなどを入力せずにネットワークに接続できる(図3)。「詳細については言えないが,無線LANサービスのIDとパスワードは利用開始時点で自動的に生成し,それを無線LANサービスへの接続時に送信している」(日本通信)という。

 今回のサービスは,FOMA網を利用するMVNO(仮想移動体通信事業者)として初めて,いわゆる「レベル2接続」を実現したものである。「ユニークな付加価値を生み出すために,レベル2接続を追い求めてきた」(三田氏)。三田氏は,レベル3接続では移動体通信事業者側が持っていたゲートウエイ機能を日本通信が持つことでパケットの内容やユーザーに応じた帯域制御ができるようになると説明し,法人向けサービスや機器同士での接続用サービスなどが展開しやすくなるとした(図4)。