組み込みソフトウエア関連の情報を中心に掲載する「組み込み開発」サイトの2007年は,マルチコア構成を採るマイクロプロセサの活用と,組み込みソフトウエア技術者の育成に注目が集まった。
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2007年には,パソコンやサーバー機に向けたマイクロプロセサ製品のほとんどが複数のCPUコアを集積したマルチコア構成になった。半導体の微細化を原動力とする動作周波数の向上が限界を迎え,マイクロプロセサ・メーカーはソフトウエアを並列に実行できるようにすることで演算性能と電力効率の両方を高める方向に舵を切った。ソフトウエアに手を入れなくてもマイクロプロセサの動作周波数向上によってスループットが高まるという時代が終わろうとしている。ソフトウエアに手を入れなければ,半導体の微細化の恩恵を受けられない状況になろうとしている。
こうしたマルチコア型マイクロプロセサの代表例の一つが,「プレイステーション3(PS3)」に搭載された「Cell」である。PowerアーキテクチャのCPUコア1個と,信号処理コア8個を備える,ヘテロジニアス構成のマルチコア型マイクロプロセサであるCellの演算性能をどのように生かすのか,というさまざまな取り組みを報じたニュースに多くのアクセスが集まった。OSの動作例のほか(1位),家庭内ネットワークや著作権保護(2位,7位),ユーザー・インタフェース(5位),分散コンピューティング環境(8位)などのミドルウエア層の試作例が多く登場した。
2007年に多くの読者の注目を集めたもう一つのテーマが,組み込みソフトウエア技術者の育成である。組み込みソフトウエアの業界では人手不足が叫ばれて久しいが,より高度なソフトウエアを,より効率よく開発するためには,技術者の能力向上が欠かせない。突出した能力を持った技術者をいかに業界に呼び込むか,そして一般の技術者をいかに育成するかが課題となっている。そうした環境の中,パーソナル・ロボットなどを手掛けるベンチャー企業のZMPが発売したロボット教材に関する記事(6位)や,フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンが2006年に続いて開催した電子工作コンテストに関する記事(10位)がアクセス数ランキングでトップ10入りした。このほか,約2800人の組み込みソフトウエア技術者を対象に行った実態・スキル調査の結果を掲載した連載記事(「【組み込み技術者調査】『問題山積で体系的勉強法もない』,現場であえぐ組み込み技術者」)に多くの読者がアクセスした。