Rubyを使った家電向けUIなど東芝のCell関連ブースを見学する,まつもとゆきひろ氏。
Rubyを使った家電向けUIなど東芝のCell関連ブースを見学する,まつもとゆきひろ氏。
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 CEATEC開催初日となる2007年10月2日,記者は会場で意外な人物を見掛けた。プログラミング言語「Ruby」の生みの親として知られるまつもとゆきひろ氏が,東芝ブースのCell関連の展示ゾーンを訪れたのだ。

 東芝は今回のCEATECで,Rubyを使った家電向けUIをマイクロプロセサ「Cell」の上で動作させる実演を行っていた(関連記事)。このことがRuby関連のメーリング・リストで告知され,「偶然,東京にいる用事があったため,見に来た」(まつもとゆきひろ氏)という。島根県在住の同氏は講演などのついでに展示会を見学することは多いものの,CEATECを見学するのは初めてとのことである。

 まつもとゆきひろ氏は東芝のCell関連の実演を視察した上で,「(言語の生みの親として)Rubyが組み込み分野でも検討されることは素直に嬉しいこと」と語った。また,「ソフトウエアはハードウエアがあって初めて動作するもの。だから,ハードウエアのアーキテクチャの動向には非常に興味がある。Cellのような並列性の高いマルチコア型マイクロプロセサが登場する時代の中にあって,プログラミング言語は今後どう進化していくべきか。関数型言語のようなアプローチも参考にしながら,常々,進化の方向性を思案している」という。

 東芝は今回のCEATECで,SpursEngineを含めたCell関連の実演を合計8種類ほど展示していたが,まつもとゆきひろ氏はRubyを使った家電向けUIの実演以外にも,こうしたCell関連の実演を一通り見て回り,説明員の解説に熱心に耳を傾けていた。