青色LEDで日本人3名がノーベル物理学賞を受賞した。日経テクノロジーオンラインでは、雑誌に掲載した青色LEDの記事を、オンラインで紹介している。多くの方に読んでいただいき、今回の記事ランキングには多数の青色LED関係記事が並んだ。ただし、首位を獲得したのはiPhone 6の分解記事である。

アクセス記事ランキング(9/26~10/15)
デバイス
1 ニッポン企業健在ナリ! iPhone 6に見る日本モノづくりの実力
2 中村修二氏が語る、青色LED開発前に学んだ2つの重要なこと
3 第4回:関門突破,いよいよ製品化,余勢をかって一気にレーザも
4 第3回:苦節十余年,事態一転,怒涛の快進撃が始まる
5 大画面化に舵切ったiPhone 6 Plus、薄型化への課題はカメラとヘッドフォン
6 第1回:装置は自作で部材は再利用,語るも涙の開発課員時代
7 第2回:失意の帰国,ゼロからの出発,装置の改造に明け暮れる日々
8 苦境に陥ればこそ,新たなアイデアがわく―中村修二氏が語る渡米後の生活
9 高輝度青色発光ダイオードの開発
10 第4回 明らかとなる内部
11 激安9割引のiPhone 5模造品は“スマホもどき”だった
12 第5回 2次電池発火のハプニング
13 第3回 ついにiPhone 6 Plusを分解へ
14 ノーベル賞・中村氏も注目の「非極性GaN」って何だ?
15 最終回:GaN系青色発光ダイオードの発明について
16 青色LEDを最初に光らせた赤崎氏と天野氏(上)
17 台湾と世界の半導体ファウンドリー産業の行方
18 2014年のノーベル物理学賞は赤崎氏、天野氏、中村氏の3人に、青色LEDの発明で
19 第6回 相変わらず、洗練されたメイン基板
20 青色LEDを最初に光らせた赤崎氏と天野氏(下)

 日経テクノロジーオンラインの電子デバイス系サイト、すなわち、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA・ソフトウエア」、「アナログ」、「電子部品」、「デバイス」というテーマサイトで公開した全記事のうち、2014年9月26~10月15日にアクセス数が多かった上位20の記事を右表にまとまめた。実に20本のうち12本が青色LED関係記事という、ある意味、異常事態となった。

 その中で最もアクセスが多かったのは、ランキング2位に入った「中村修二氏が語る、青色LED開発前に学んだ2つの重要なこと」というタイトルの記事である。同氏が1979年に日亜化学工業に入社してから、青色発光ダイオード(LED)の開発に着手するまでのほぼ10年間、技術者として大切な2つの要素を知らず知らずのうちに学んでいたという。

 「まず、いかに作るかは重要だが、それにもまして『何を作るか』が極めて重要であること。そして、何を作るべきかを知るためには技術者自身が顧客と対話し、製造現場に足を運んで、ビジネスの現場を知らなくてはならないということである」(同氏)。

 「ただし、これら一連の仕事を自ら進んで体験したわけではない。企業に所属するサラリーマンとして、多くの制約の中で体験せざるを得なかったというのが正直なところである。お金もなく人もいないから、研究から製造、品質管理に始まり、客先での製品説明や接待のような営業的な仕事まで一人でやった」(同氏)。

 「こうして過ごした入社からの10年間は、数多くの失意と、少しばかりの成功の中で『売れる技術』を開発することの大切さを痛切に感じさせられた時期だった。今思い起こせば、この間に経験したすべての仕事が、青色LEDの開発に成功する土台になったことは間違いない」(同氏)。

pn接合型からダブルヘテロ構造へ

 続いて、青色LED関係記事で2番目に読まれたのは、ランキング3位に入った「高輝度青色発光ダイオードの開発物語」の最終回(第4回)の記事だった。第1回から第3回では、中村氏が入社してから初めて青色発光ダイオードが光るまでを紹介した。第4回はいよいよ大団円。高輝度発光ダイオードが完成する。最初のGaN発光ダイオードは光ったが、暗かった。

 同氏はpn接合型からダブルヘテロ構造への転換を決意する。ここからは速い。開発はトントン拍子に進み、ダブルヘテロ構造に不純物を入れて発光中心を設け、1cdの輝度を実現、製品化にこぎつけた。信号機など、応用機器も続々現れ始めた。

分解専門家に優しいiPhone

 上述したように今回のランキング1位は、iPhone 6の分解記事である。タイトルは「ニッポン企業健在ナリ! iPhone 6に見る日本モノづくりの実力」である。同記事の著者で分解専門家の柏尾 南壮氏(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)によれば、分解時に不気味な音とともにディスプレーに蜘蛛の巣状のヒビが入るスマートフォンが増えている。

 薄型化が進むスマートフォンでは両面テープなどの使用が増え、破損させずにディスプレーを筐体から綺麗に分離するのに一苦労するという。最近のディスプレーはタッチパネルと接着されてさらに薄くなっており、ちょっと手元が狂っただけで液晶パネルまで一緒にお陀仏になることもあるとする。

 一方でiPhoneは、この点では、「分解屋にとっては非常にありがたい存在だ」(柏尾氏)。構造は超複雑で約50本のネジが使われているが、これらのネジを外しさえすれば、部品を損傷させずに分離することができるからだ。両面テープも一部で使用されているが、ガッチリ固定しているわけではなく、無理に引っぺがす必要もない。

 ディスプレーは、充電時などに使用するLightningコネクタの両脇にある特殊規格のネジ2本を外すだけで簡単に外れる。あとはひたすらネジを外し、内部の部品を取り出していく。「分解屋の友iPhone!しかしiPhoneが分解屋に優しいのはここまでだ」(同氏)。