外せど外せど、終わりのないねじ回し。結局、iPhone 6 Plusで、部品を固定するために使用されていたねじの総数は52個だった。従来品に比べて、ねじの数が増えているのも特筆できる。iPhoneは従来、内部基板の固定にねじ留めを採用しているが、この理由について、分解に協力してくれた技術者は、「ねじで固定する方が工業用両面テープを使うより安いからだ」と説明した。これは別の専門家の意見だが、工場出荷前の検査で見つかった不良部を交換しやすくするためでもありそうだ。今回、ねじの数が増えたのは、筐体が大型化したためだと思われる。

図1●iPhone 6 Plus内部に使用していたねじ
図1●iPhone 6 Plus内部に使用していたねじ
[画像のクリックで拡大表示]
 多量のねじを外し終わると、ついにiPhone 6 Plusのメイン基板が筐体から取り外された。第4回でも触れたが、メイン基板はシンプルな構造をしており、リチウム(Li)イオンポリマー2次電池の横の隙間に収納されている。IC間を結ぶ配線長が短ければ、電力消費量を抑えられ、基板の面積も小さくできる。例えば、アプリケーションプロセッサーの裏に電源管理ICが来るように設計してやれば、配線の長さを短くすることができる。そういう観点で見るとiPhone 6 Plusの基板は「非常に洗練された設計」(分解協力者)といえる。ちなみにiPhone 6とiPhone 6 Plusでメイン基板の違いはほとんどないという。

 表面には、通信用のベースバンドICやアプリケーションプロセッサー、裏面はメモリーや電源管理IC、タッチコントローラー、無線LAN/Bletooth用通信などが実装されていることが分かる。

図2●表面(液晶ディスプレー側)(左)と裏面(本体裏面側)(右)の外見
図2●表面(液晶ディスプレー側)(左)と裏面(本体裏面側)(右)の外見
[画像のクリックで拡大表示]

 他社製のスマートフォンではICチップが主に片面へ実装されており、基板の反対側に2次電池を重ねる場合が少なくない。その重なり合った部分が本体の中で一番厚くなるので、スマートフォンの厚みを決める最大の因子は2次電池の厚みになっていた。