「あー、燃えた!!」リチウム(Li)イオンポリマー2次電池を筐体からはがしていた分解班に衝撃が走った。曲がった2次電池から電解液が漏れ出し、発火してしまったのだ。モクモクと白煙が上がり、辺りに異臭が立ち込めた。驚く分解班とは対照的に、分解に協力してくれた技術者は「よくあるんですよ」と余裕の様子。

 2次電池が筐体からすぐはがれたため、本体へのダメージは免れた。技術者はすかさず燃える2次電池を床に放り、足で踏みつけて消火した。技術者は消火活動もやはり男前だった・・・。2次電池は変わり果てた姿になってしまったが、分解する以上再利用できないことは初めから分かっていたので特に問題はない。気を取り直して再び分解作業へ戻る。

図1●白煙を上げる2次電池
図1●白煙を上げる2次電池
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Apple社の電池基板

 技術者は、おもむろに2次電池上部の部品を取り外し始めた。実はこれ、米Apple社が自社の2次電池向けに用意した専用の基板なのだという。iPhone 6 Plusのこの基板には4個ほどの2次電池管理ICなどがついていた。他社製スマートフォンの2次電池管理ICは1個なのに対して、米Apple社製のものは数が多いという特徴がある。

図2●2次電池上部の基板を取り外す
図2●2次電池上部の基板を取り外す
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図3●2次電池上部の基板
図3●2次電池上部の基板
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 「これがApple社のノウハウの1つです」と、技術者は語った。業界では2次電池の汎用品化が進んでおり、ここまで他社製品と差異を設けるのは同社だけだという。これらのICチップは、電池性能の監視や本体との情報のやり取りなどを行うと共に、不正電池の使用防止という役割も兼ねているという。2次電池の障害対応や品質改善などに使っているようだ。

 次に、分解班はディスプレー部の解体に移った。