半導体関連の4つのサイト、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA」、「アナログ」に投稿の全記事(日経BP半導体リサーチ記事を含む)を対象に、直近4週間(2013年7月1日~7月28日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。最も読まれた記事は、前回に引き続いて(Tech-On!関連記事)、半導体プロセスの基礎を解説した講座記事「半導体デバイスのできるまで」だった。
2位になったのは、「ミニマルファブ・シンポジウム 2013」のパネル討論会を紹介した記事である。ミニマルファブとは、小さなウエハーと小さな製造装置で、少量のICを低コストで作ることを狙うプロジェクトだ。国内半導体メーカーのファブレス化・ファブライト化で意気消沈気味の製造装置メーカーなどが高い関心を示し、同シンポジウムは多くの聴講者を集めた。シンポジウムのアジェンダの最後が記事で紹介されたパネル討論会である。
FPGAが最大のライバル
パネル討論会には5名のパネラが登壇した。その中で大阪大学の今井正治氏(大学院情報科学研究科 情報システム工学専攻 教授)は、「ミニマルファブの話を聞いたときには、FPGA(field programmable gate array)が最大のライバルだと思った」と述べている。ただし、FPGAではデジタル回路しか実現できないため、「ミニマルファブにはアナログ回路の実装に期待したい」(同氏)と加えた。
また、野村證券の和田木哲哉氏(エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター)は、ミニマルファブ事業を黒字化させるための提案を行った。既存の半導体装置事業では、微細化による装置の買い替えによって、売り上げ・利益を確保して、事業を継続できた。それに対して、ミニマルファブでは装置を一度売ってしまうと、それで終わってしまう恐れがある。そこで同氏は、プリンタなどのように装置ではなく消耗品で儲ける事業形態や、装置売り切りではなく装置をリースして従量課金で売り上げを立てる事業形態を勧めた。
ありそうでなかった装置
ランキングの3位は、NECエンジニアリングが開発したESD電流の可視化システムを紹介した記事である。ESD(electrostatic discharge)対策は、今も昔も、多くの電子機器の開発で避けて通れない。同社によれば、これまでにも静電気を帯電した状態を測定する手段はあったが、ESD電流の経路を可視化する装置は、今回が初めてだという。
今回のシステムは、雑音可視化などで実績がある同社の磁界プローブやスキャナ・ユニット、およびパソコン(PC)上で稼働する制御ソフトウエアからなる。これに、静電気試験器(放電ガン)、オシロスコープ、PCを組み合わせると、プリント基板上の静電気放電電流の解析が行える。放電ガンとオシロスコープ、PCは「ユーザーがすでに保有しているものを使ってもらうことを想定している」(同社)。
初めてプレスに公開
5位になったのは、マレーシアのペナン州にある米Intel社の後工程拠点を紹介した記事(一部、日経BP半導体リサーチ会員限定記事)である。Intelが報道機関に製造拠点を公開することは珍しく、ペナン州の後工程拠点を公開するのは今回が初めてだという。米国外の拠点としては最大級の規模である。従業員数は約1万人と同社の海外拠点全体の約10%を占める。うち2000人ほどは設計技術者である。
当初は製造の後工程に力を入れていたが、その後、設計にも力を入れるようになり、最近では、Intelの中核製品の設計にも加わるようになった。例えば、第3世代Coreプロセサ(コード名:Ivy Bridge)やAtomプロセサの設計開発に参加し、直近では2013年6月に発表した「第4世代Coreプロセサ(コード名:Haswell)の開発に大きく貢献した。