アプライド マテリアルズ ジャパンの渡辺氏
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半導体分野で注力する四つの技術領域
半導体分野で注力する四つの技術領域
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3次元NANDに大きな商機を見込む
3次元NANDに大きな商機を見込む
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リソから成膜・エッチングに重点が移ると主張
リソから成膜・エッチングに重点が移ると主張
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3次元NANDには多様なエッチング・プロセスが求められる
3次元NANDには多様なエッチング・プロセスが求められる
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 半導体製造装置大手の米Applied Materials(AMAT)社の日本法人であるアプライド マテリアルズ ジャパンは2013年7月19日、報道機関向けの事業/新製品説明会を東京都内で開催した。AMAT社が「SEMICON West 2013」(2013年7月9~11日に米国で開催)に合わせて発表した内容を日本のメディアに紹介したもの。アプライド マテリアルズ ジャパン 代表取締役社長の渡辺徹氏などが登壇した。

 今回の発表でAMAT社が強調したのは、「モバイル機器への市場シフトが、我々にとっては追い風になる」(渡辺氏)こと。モバイル機器に使われるアプリケーション・プロセサやメモリに求められる性能や集積度を実現する手段として、同社は従来の微細化に代わって、新材料や3次元化の重要性が高まっているとみる。結果として「ここ数年はリソグラフィ(露光)に流れていた設備投資が、(AMAT社の事業領域である)成膜やエッチングに回るようになる」(同氏)とにらむ。

 具体的には、(1)トランジスタ、(2)配線、(3)3次元NANDフラッシュ・メモリ、(4)パターニングの四つを注力領域とし、これらの領域で「デバイス性能や歩留まりを高める技術(Device Performance and Yield(DPY) solutions)」と「新材料の緻密な制御技術(Precision Materials Engineering(PME) leadership)」の提供に力を入れるとした。AMAT社は2016年度をメドに、これらを中心テーマとする半導体製造装置グループ(Silicon Systems Group:SSG)の研究開発に、事業運営費全体の63%を投下する計画。代わりにコスト削減を徹底する他、太陽電池関連の開発投資は抑制するという。「半導体製造装置グループの成長を何よりも重視し、ここに投資して勝つ」(渡辺氏)というのが、当面の戦略だ。

 今回の発表でとりわけ力を込めたのが、3次元NANDフラッシュ・メモリへの期待である。3次元NANDフラッシュ・メモリは、現行の平面型NANDフラッシュ・メモリの後継技術と目されており、「今年か来年には(サンプル品などが)出てくる」(渡辺氏)見通し。

 3次元NANDフラッシュ・メモリでは、リソグラフィを用いて加工寸法を縮小する代わりに、メモリ・セルを多段積層して大容量化と低コスト化を進める。このため、NANDフラッシュ・メモリ製造の主役が、従来の露光装置から、多段セルを作るために欠かせないCVD装置やエッチング装置に移るとAMAT社は主張する。同社の試算では、3次元NANDフラッシュへの移行に伴い、成膜装置とエッチング装置に対して、10万枚/月の生産能力当たり5億米ドル以上の追加投資が見込まれるという。

 同社は3次元NANDフラッシュ・メモリに対応する装置として、80:1といった高いアスペクト比を実現するエッチング装置「Applied Centura Avatar」を2012年6月に発表済み。「既に顧客が技術評価などに利用している」(AMAT社)という。この他、同社製のCVD装置に接続して3次元NANDフラッシュ・メモリのゲート・スタック形成などに使えるチャンバ「Precision CVD Chamber」を、技術評価用に一部の顧客に提供している。