スマート社会を実現するエネルギー技術の情報をお届けする「エネルギー」サイトに投稿の全記事を対象に、直近4週間(2013年5月22日~6月16日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。最も読まれたのは、「水素インフラ」の動向を議論した記事である。
首位になった記事によれば、次世代のエネルギーシステムとして、「燃料電池」やその燃料となる水素を供給する「水素インフラ」に再び注目が集まっている。2015~2017年には、国内自動車メーカー3社が燃料電池を動力源とする「燃料電池自動車(FCV)」を本格発売する。また、エネルギー事業者10社が2015年までに水素ステーションを国内に100カ所整備すると発表した。2030年には5000カ所の設置を目指している。
さらには、電力不足が国内でも深刻化し、太陽光発電などの再生可能エネルギーが大量導入されてきたことから、電力需要のピークカットや電力系統安定化のために水素インフラや燃料電池を活用しようという動きも活発化してきた。
水素インフラや燃料電池を中心に、水素を2次エネルギー(エネルギー媒体)として流通させる「水素社会」が到来すると言われて久しい。2002年にはトヨタ自動車とホンダがFCVのリース販売を開始したが、その後EV(電気自動車)ブームの陰に隠れていた。それが、水素インフラ整備の道筋が見えてきたことから再び表舞台に出てきた格好である。
エコカーの米ベンチャー両雄に明暗
2位になったのは、エコカー(環境対応車)・ベンチャー2社に焦点を合わせた記事である。記事では米Fisker Automotive社と米Tesla Motors社の2社を採り上げている。このうち、Fiskerは失速してしまった。例えば、同社の創業者で同社の中心人物であったHenrik Fisker氏が2013年3月に辞任した。
次いで4月には、米連邦破産法第11章(チャプター11)に基づく倒産の手続きに関する助言を破産専門の法律事務所から受けた。一部を除き大半の社員が解雇されるなど、同社を巡る状況は厳しさを増すばかりだ。
一方でTeslaは2010年に株式の公開に漕ぎ着け、2013年の第1四半期決算で創業以来初の黒字化を達成した。まだ予断は許されないもののTeslaが順調に走り続けているのと、Fiskerの失速は対照的である。
記事によれば、失速の失速の最大の理由は、基幹部品である電池パックの供給が停止してしまったことだ。同社は米A123 SystemsのLiイオン電池セルおよび電池パックを富裕層向けの高級プラグインハイブリッド車「Fisker KARMA」で採用していた。
ところが、A123が2010年10月に経営破綻してしまい、Fiskerへの電池パック供給が途絶えた。このあおりを受けて、2012年末よりFiskerはKARMAの生産と出荷ができなくなり、連鎖的に経営破綻の危機に直面した。
太陽電池の金額ベースの市場規模で日本が首位に
第3位は、太陽電池の市場規模を報じた記事である。この記事では米IHS社が発表した、金額ベースの太陽電池の市場規模を報告している。それによれば、同市場において2013年に日本が首位になる見通しだという。2009~2012年に首位だったドイツは3位に後退する。2位は中国になる。
2012年7月に始まった固定価格買い取り制度の影響で、日本には2013年第1四半期に1.5GW相当の太陽光発電システムが導入された。前年同期の0.4GWに対して大幅な伸びを示しており、この勢いは今後も続く見通しだという。
その結果、2013年の日本の金額ベースの市場規模は200億米ドルになるとした。これは、2012年の110億米ドルに比べて82%増の金額だ。日本の金額ベースのシェアは、2012年の14%から、2013年には24%に高まる。