Tech-On!のテーマ・サイト「電子部品」では、これから新しい応用分野への展開を目指す技術に関心が集まった。この2週間(2月7~20日)に最も読まれた記事は、クロミック技術の開発事例を紹介した記事だった。クロミックとは、エレクトロクロミック(electrochromic、EC)やガスクロミック(gaschromic、GC)を指しており、このうちECが米Boeing社の新型航空機「B787」の窓に採用されたことで技術開発が加速しているようだとする。MEMSに関する記事も多く読まれた(6位、9位、11位、14位、20位)。
クロミックに関する記事では、電圧をかけることで色などが変わる材料特性を生かしたガラスを紹介している。調光ガラスに応用できるほか、絵画や模様を表示させるディスプレイにも利用できる。透明な状態と鏡として機能する状態を切り替える技術も記事では取り上げている。身近なところにエレクトロニクス技術をちりばめる“アンビエント・デバイス”を実現する有力候補となりそうだ。
MEMSに関しては、奇抜なアイデアに基づく圧力センサに関する記事が最も読まれた。6位の「10cmの気圧差を検知できる絶対圧センサ」である。カンチレバーを液体で覆う構造によって感度を高めている。液体を使うことによって用途に制約がある反面、水中マイクなど独自の用途を開拓できる可能性がある。次に読まれたのは、スマートフォンなど携帯電話機に使っているSIMカードで、被験者がマラリアにかかっているかをその場で検査できることを目指した技術に関する記事だった。いずれもMEMS関連の国際学会で発表されたものである。他にも興味深い発表が多数あり、関心のある方は、東北大学の江刺・田中研究室の田中秀治准教授による技術セミナーも聴講されたい。
このほか、電子部品大手7社の2012年第4四半期(10~12月)決算に関する記事が2位にランクインした。取り上げた7社が全て増収だったものの、利益をみると明暗が分かれた。日東電工と村田製作所がそれぞれ80%前後の増益だった一方、かつての高収益企業のロームが赤字に陥った(関連記事「ロームの利益率が30%から3%になった理由、同社幹部が語る」参照)。