用語解説

 鉄鋼と一口に言うが,実は「鉄」と「鋼」は厳密には違う。鉄は,元素記号Feで表される物質の名前である。一方,鋼は鉄と炭素(C)の合金を意味している。

 鋼における炭素の添加量は,一般に0.2質量%以下と微量である。添加量が少ないので,炭素は鉄原子の間に固溶したり,鉄との化合物をつくって析出したりしている。炭素のほかにも,鋼にはSi(ケイ素)やMn(マンガン)などがわずかに混じっていることが多い。機械的性質に優れた鋼が必要な場合は,さらにNi(ニッケル)やCr(クロム),Mo(モリブデン)などの合金元素を積極的に添加して強化することができる。

 鋼は,さまざまな合金のベースになるだけでなく,熱処理などによって多彩な機械的特性を持たせることができる点でも非常に便利な材料である。例えば,真っ赤に焼けた鋼を水中に入れて急冷すると(焼き入れ),マルテンサイト変態と呼ぶ組織変化が起こり,一気に硬くなる。硬くなりすぎると脆(もろ)くなって割れやすくなるので,その後にさらに加熱して硬さと靭(じん)性のバランスをとることなどが行われている(焼き戻し処理)。

 ちなみに鋳物は,鋼を溶かして固めたものではない。鋳物に使われる鋳鉄は,炭素の添加量が約2質量%以上と鋼に比べて格段に多く,鉄の母相の中に炭素の塊である黒鉛粒子が析出して分散した状態になっている。この鉄・炭素に,SiやMnなどが微量混じった状態が,鋳鉄として一般的な組成である。鋳鉄では炭素が黒鉛として析出しているため,一般に焼き入れ処理を適用できない。ただし,炭素の添加量を少なくした鋳鋼と呼ばれる特殊な鋳物は,焼き入れ・焼き戻し熱処理を施すことができる。(→鋳鉄の項を参照)

供給・開発状況
2005/09/01

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