driving safety support systems

 一般道を管理する警察庁が中心となって進める「安全運転支援システム(DSSS:driving safety support systems)」というプロジェクトのこと。自動車とインフラで通信を行う路車間通信などにより,交通事故の削減を目指す。2006年度から3年計画で検証を開始している。

 DSSSの検証は,警察庁の外郭団体となる新交通管理システム(UTMS)協会が主体となって神奈川県,愛知県,宇都宮市,広島県の4カ所で実施している。それぞれ中心となる自動車メーカーは,日産自動車,トヨタ自動車,ホンダ,マツダである。神奈川県では2006年11月,愛知県では2006年12月,宇都宮市では2007年11月,広島県では2007年12月に実施する。

 DSSSの通信メディアは主に,赤外線を利用する双方向通信が可能な光ビーコンを使う。渋滞情報提供サービス「VICS」の情報を送信したりする光ビーコンはインフラの整備が進んでいるためだ。通信距離が3.5m程度と短いため,車線ごとの個別の情報を提供することが可能となる。

 DSSSと同様に,自動車とインフラを連携する安全運転システムとして,国土交通省が中心となって進める「スマートウェイ」がある。主に高速道路や有料道路が対象となる。通信メディアとして電波ビーコンETCに用いる5.8GHz帯のDSRCを使う。DSRCは最大通信距離200mで双方向通信が可能。2007年10月には,国交省が中心となって,首都高速道路でDSRCを利用した路車間通信を行う「スマートウェイ2007」と題したデモンストレーションを披露した。

 DSSSでも,DSRCの利用を検討しているという。緊急性の高い情報配信の効果を高めるには,車両を感知するセンサの精度向上や,通信技術の追加が必要になるためだ。現状のセンサは二輪車といった小さな車両を撮影しにくい。見通しの悪い交差点で,よりリアルに死角の情報を与えようとすると実画像を撮影・配信する必要があり,しかも複数台に一括して提供することも必須になる。こうなると,データ伝送速度と最大通信距離の点から光ビーコンでは力不足になる可能性が高く,DSRCといった高速な通信メディアが必要になってくる。

 ホンダが中心となる宇都宮市の検証では,光ビーコンとDSRCを連携することで二輪車に配慮した安全運転システムを披露した(Tech-On!関連記事)。

警察庁が中心となって進めるDSSSの概要
警察庁が中心となって進めるDSSSの概要 (画像のクリックで拡大)