dedicated short range communications

 旧郵政省がITS向けに標準化を進めた狭域無線通信。5.8GHz帯を利用したアクティブ方式の双方向通信である。例えば,国内では自動料金収受システム(ETC)で採用されている。高速道路などの料金所に設置したアンテナと,クルマに搭載したETC車載器が相互に通信し合うことで,クルマは料金所に一時停止することなく通過できる。DSRCの無線周波数帯14チャネルのうち,4チャネルをETCで利用する。変調方式はASKである。

 DSRCはETCだけでなく,駐車場管理や交通情報提供,店舗情報提供,通学路などの道路の情報を伝える走行支援などの複数の用途に使えると考えられている。QPSKも利用できる。

 データ伝送速度は,ASK方式の場合で最大1Mビット/秒,QPSK方式の場合で同4Mビット/秒である。通信距離は数m~30mと小さく,セル半径は狭い。小さな区画ごとに同じ帯域を利用するため,周波数資源を有効に利用できる。セル半径が小さいことから送受信地点が特定されるので,地域情報や気象情報など,利用者のいる場所に密着したサービスができる。

 現在は路車間通信などを想定しているが,将来的には車車間通信での利用も想定されており,通信方式の検討が進められている。

表 ETCとDSRC(DSRC諮問時の総務省の発表資料から)表 ETCとDSRC(DSRC諮問時の総務省の発表資料から)