ガリウムと窒素で構成する化合物半導体。バンドギャップが3.45eV(光の波長で約365nmに相当)とSiより3倍広い。この特性を生かして,主に光デバイスでの応用例が多い。インジウム(In)やアルミニウム(Al)を混ぜてバンドギャップを調整することで,青色発光ダイオード(LED)や青紫色半導体レーザといった発光デバイスがすでに実用化している。

 GaNで制作したデバイスは,バンドギャップを含めたその物理的パラメータから,五つの特徴を持つ。耐圧が高いこと,高温で動作すること,電流密度を大きくできること,スイッチングが高速であること,オン抵抗が小さいことだ。こうした特徴は,パワー・アンプ回路や電源回路,モータ制御回路といったパワー半導体の分野で有利となる。現在,SiC半導体と並ぶ次世代パワー半導体デバイスの候補として,GaNデバイスの研究開発が進んでいる。

表 GaNとSi,GaAs,SiCの材料物性比較日経エレクトロニクス2006年6月5日号より抜粋)
表 GaNとSi,GaAs,SiCの材料物性比較