SCEの平井氏
SCEの平井氏
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ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2011年1月27日,携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の後継機となる「Next Generation Portable(NGP)」(コードネーム)や,Android端末向けゲーム提供サービス「PlayStation Suite(以下,PSS)」を発表した(Tech-On!関連記事1同2日経エレクトロニクス関連記事)。この発表後,同社代表取締役社長 兼 グループCEOである平井一夫氏への報道機関向け合同インタビュー(ラウンドテーブル)が開催された(Tech-On!関連記事3)。以下,一問一答形式で質疑応答の概要を記す。今回はPSSに関する話題を中心に掲載する。

――PSSのプラットフォーム依存性を教えて欲しい。

平井氏:携帯端末には,Android対応機だけでなく,Windowsや「iOS」を搭載したものがあるが,最初から全部に対応していたら,リソースが足りなくなる。そこで,「台数」にプライオリティを置き,まずはAndroidに注力する。Androidの中でも,台数を求めるとスマートフォンとなり,その次にタブレット端末になる。ソニーが手掛ける「Sony Internet TV Powered by Google TV」(Google TV)も普及して台数が増えれば,PSSの提供はありえる。あるいは,普及させるためのキラー・アプリとして,PSSの提供もあり得るかもしれない。繰り返すが,Android以外を無視するのではなく,まず台数を追求し,Androidから,ということになったのだ。

――ゲーム・ソフトのパブリッシャー(提供側)は,スマートフォン向けアプリケーション(アプリ)として,既にゲームを提供しているところもある。パブリッシャーにとって,PSSを通じてゲームを提供するのと,Androidアプリとして提供するのとで,何が違うのか。

平井氏:「プレイステーション・クオリティ(PSクオリティ)」のゲームがきちん快適に遊べて,動作確認が取れるという点が大きな差だと思っている。

 PSSを通じて提供するゲームは,基本的にAndroid対応端末であれば動作する。ただし端末によっては,動作が緩慢になったり,操作が難しくなったりするかもしれない。そこで,携帯端末メーカー向けに,「PlayStation Certified」というライセンスプログラムの提供を始める。これにより,Android端末上でプレイステーション品質のゲームを担保する。

 ゲーム・ソフトに関しては,例えば,過度な暴力表現のあるゲームや,公序良俗にそぐわないゲームを排除できる。PSSでは,これまでのPlayStationシリーズのゲームと同じく,厳格に審査するからだ。その審査に通ったものだけを,「PSクオリティ」のゲームとして,ユーザーに提供できる。つまり,SCEとして,品質を保証している点が魅力となる。これは,何でもありのパソコンや携帯電話機向けゲームの世界とは,ある程度線を引いたものだ。

 ――PSS対応のゲームはどのようにして提供するのか。

平井氏:基本は「PlayStation Network(PSN)」で運営するオンライン・ストア「PlayStation Store」を通じて提供すると考えているが,詳細は未定だ。そのストアがどう位置付けされるかなどについては,各通信キャリアと相談したい。通信キャリアも,独自でストアを展開しているからだ。しかも,ゲームを差異化ポイントとして考えているキャリアも多い。

 強調したいのは,PSSに関してはキャリアや携帯端末メーカーに対してオープンだということだ。Android端末は既に相当な台数が出荷されている。PSSは,そのAndroidの世界に,PSの世界を提供する新しいサービスだ。これまではSCEのゲーム機にだけゲーム・ソフトを提供してきたが,PSSはオープンにしたい。だから,さまざまな携帯機器メーカーとも話し合っていきたい。

――PSSでは,まず初代プレイステーションのソフトから提供すると聞いた。今後,PSS提供の対象となるゲーム・プラットフォーム(PS2対応ソフトやPS3対応ソフトなど)は増えるのか。将来,NGP対応ゲームもPSSを通じて提供されるのか。
 
平井氏:まずは初代PSのゲームを提供するが,基本的にPSS向けの新規タイトルを作って欲しいと思っている。

 また,どのようなゲームもAndroid端末で動作するわけではない。例えば,NGPとAndroid端末のハードウエアには,大きな差がある。しかも,Android搭載のスマートフォンやタブレット端末はゲームを楽しめるが,「ゲーム専用機」ではない。やはり,ゲームを徹底的に楽しむなら,NGPのようなハードウエアや表現力がいる。なので,すべてのゲームがスマートフォンなどに吸収されるわけではない。

――スマートフォン向けゲームや,任天堂の「ニンテンドー3DS」など,競合にどう打ち勝つのか。