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 「日本の地上デジタル放送のコンテンツ保護方針として,コピー・ワンスEPN(encryption plus non-assertion)に切り替えることが最善だとは考えている。しかしEPNが認められないならば,ARIBの規定を変える必要があるだろう」──。米Intel Corp.におけるデジタル・コンテンツの著作権保護関連の取り組みを統括する同社 Director, Global Content PolicyのJeffrey Lawrence氏が来日し,コンテンツ保護への取り組みの状況を記者に説明した。この場でLawrence氏は,受信機の仕様を変更せずに済むEPNが望ましいという考え方を示したものの,電波産業界(ARIB)が定める「地上デジタルテレビジョン放送運用規定(TR-B14)」のコンテンツ保護規定を変えるという方策があるとの見解を示した。

 国内の地上デジタル放送のコピー・ワンスの見直しについて,総務省の諮問機関である情報通信審議会が情報通信政策部会に設置した「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」が検討を進めている(Tech-On!の関連記事1)。ARIBの規定の中で定義されている考え方であるEPNへの切り替えは,放送番組の送出時に付与するコピー制御信号のビットを変更するだけで済む(関連記事2)。しかし,コピー回数やコピーの世代を制限できないことなどから,EPNへの変更には権利者団体に所属する委員らが反発している。

 Lawrence氏は,EPNが認められない場合の代替案として,HDDに蓄積した状態で「Copy-one-generation」(1世代だけ複製可)となるようにARIBのコンテンツ保護規定を変えるという案を示した。蓄積した番組を,記録可能な光ディスク媒体や他の録画機に,最大3個まで複製できる。Copy-one-generationとして蓄積した番組を複製する際には,DTCPやCPRMといった保護技術によって「No-more-copies」とするため,いわゆる「孫コピー」はできない。ただし,セットトップ・ボックスなどの受信専用端末と録画機をIEEE1394などのデジタル・インタフェースで接続する場合は,この代替案では考慮していない。「今後議論しなければならない」とした。また,販売済みの機器を新しい規定に対応させる難しさがあるとした。