「超高齢社会で健常な高齢者が自立して生活するためには、移動手段の確保が不可欠である。移動の足がなくなると高齢者の4人に3人は自立が困難になる」。Tech-On!(日経テクノロジーオンライン)のテーマサイト「クルマ」で、2014年2月7日~3月6日の期間のアクセスランキングで2位に入った記事の一節だ。
その記事とは、コラム「みらいのトビラ」の1本で、「超高齢社会、『超小型モビリティ』のある生活」というタイトルの記事だ。筆者は、自動車の将来動向をウオッチする早稲田大学 環境総合研究センター 参与招聘研究員の樋口世喜夫氏である。
電動化が中核技術の1つに
同記事によれば、「日本は、2015年に4人に1人、2050年に3人に1人が65歳以上の高齢者になるという超高齢社会を迎える」。すなわち、移動の足がなくなることで自立困難になる人は、2015年に日本国民の約19%、2050年には同約25%になるという計算だ。
そこで重要な役割を果たすのが、樋口氏によれば、2人乗りのチョイ乗り超小型モビリティ。自宅から半径500m以内という狭い範囲の中で自動車よりも安全に移動でき、夫婦2人の日常生活で使用できる省エネで小さいクルマだ。
そして、そうしたチョイ乗り超小型モビリティにおいては、電動化が1つの中核技術になると樋口氏が見ていることが興味深い。その理由について、同氏は次のように説明している。「ガソリンスタンドの数が最盛期の3分の2となり、近隣にガソリンスタンドがない給油所過疎地は250自治体を超えた。高齢者にとって自宅で充電できるメリットは大きい」。なかなか普及に弾みのつかない電気自動車だが、チョイ乗り超小型モビリティというコンセプトで高齢者を救う救世主になるかもしれない。