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エディターズ・ノート

ホンダがDCTに傾斜するわけ

  • 鶴原 吉郎=日経Automotive Technology
  • 2012/11/20 18:41
  • 1/1ページ

 ホンダがにわかにDCT(Dual Clutch Transmission)づいています。11月初旬に報道関係者向けに開催した「Honda Meeting 2012」では、DCTを使った2種類のハイブリッドシステムを展示しました。4気筒・1.5Lのアトキンソンエンジンと7速DCTにモータを内蔵した「SPORT HYBRID i-DCD(Intelligent Dual Clutch)」と、V型6気筒エンジンに7速DCT、前1個、後ろ2個の合計3個のモータを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD(Super Handling - All Wheel Drive)」の二つです。特にi-DCDは、2013年に発売を予定する次期「フィット」に搭載されると予想されるだけに、相当の量産規模のシステムになると予想されます。

 ここで疑問なのは、ホンダはなぜ次期ハイブリッドシステムの主流になると見られるシステムにDCTを採用したのかということです。すでにホンダは、次世代パワートレーン「Earth Dreams Technology」で、次世代のCVT(無段変速機)を発表し、従来の自動変速機をCVTに置き換えていく意向を表明しています。もし、次世代の変速機をCVTだと考えているなら、ハイブリッドシステムもCVTをベースにして考えるべきなのではないかと思えます。実際、現在の「IMA(Integrated Motor Assist)」は、CVTとモータを組み合わせた構成です。

 しかし、少し考えを進めてみると、すべての変速機をCVTに統一するというのは、技術的にはすっきりしていても、ホンダという企業の立場で考えてみると、必ずしも正解とはいえないことが分かります。ホンダには、現在の平行軸式の自動変速機を製造する大規模な設備があるからです。この設備をすべて捨てて、CVTに統一するというのは現実的な解とはいえないでしょう。一方で、ホンダの平行軸式の自動変速機は、4速程度までは構造がシンプルで伝達効率の高い方式ですが、5速以上になると、軸数が増え、構造が複雑化するという課題がありました。

これがDCTなら、手動変速機の構造がベースですから、変速段を増やしてもそれほど構造は複雑化せず、しかも現在の平行軸式の自動変速機の加工・製造設備を生かすことができます。こう考えてくると、エンジン車の変速機でCVT化を進める一方で、ハイブリッドシステムにDCTを導入するというホンダの戦略は、自社の経営資源を生かしながら技術革新に対応する、巧みな戦略といえそうです。

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