用語解説

 ジルコニアは,合金のような一風変わったセラミックス。化学組成はZrO2-Y2O3と,3モル%のイットリア(Y2O3)が添加されている。

 本来のジルコニアはZrO2単体を指す。しかし,単体では相転移に伴う体積変化が大きく,焼結時の高温から室温まで冷却する間に大きな体積変化が生じるので焼結体にクラックが入ってしまって実質的に使えない。この問題を解決したのが,化学組成がZrO2-3モル%Y2O3の「部分安定化ジルコニア」(PSZ)である。ジルコニア単体は,高温側から立方晶,正方晶,単斜晶と相転移する。イットリアやマグネシア(MgO),カルシア(CaO)などを微量添加すると,高温相の立方晶や中間相の正方晶の安定領域が低温側に広がり,室温でも安定した状態で立方晶や正方晶が存在するようになる。

 イットリア添加の部分安定化ジルコニアが最も高強度・高靭性(じんせい)であるため,このZrO2-Y2O3が一般にジルコニアと呼ばれるようになった。この部分安定化ジルコニアは酸化物なので比較的焼結しやすく,「アルミナが焼結できればジルコニアも焼ける」といわれている。

 部分安定化ジルコニアの汎用グレードの主な性質を挙げると,室温における曲げ強さが750MPa~1800MPa,1000℃だと同300MPa。破壊靭性KIcは8~12MPa・m−1/2で,耐熱衝撃温度ΔT=350℃である。この中で靭性が著しく高いのは,次のような理由からである。すなわち,室温付近で立方晶や正方晶が混在する組織になっている部分安定化ジルコニアが大きな応力を受けると,正方晶粒子が体積膨張しながら単斜晶に相転移する。この体積膨張が大きな応力場で生じたクラックを押しつぶし,クラックの進展を防止するからである。

 部分安定化ジルコニアの主な用途は,加工対象の材料を破砕して粉末をつくるための破砕ボールや,紙・繊維・布などを切断する刃物などである。

供給・開発状況
2005/09/01

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