エレクトロニクス技術により,安全・環境・快適分野で自動車が大きく変わろうとしている。安全分野では,従来の衝突安全から事故を事前に回避する予防安全,そして路車間通信などを利用してインフラと協調しながら安全性の向上を図る方向へ進展しそうだ。環境分野では,地球温暖化の要因となるCO2排出量を抑制するため,自動車メーカー間でハイブリッド車の開発競争が激化してきた。快適分野では,日本だけでなく欧米にもカーナビが拡大し始め,通信との融合やヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)に大きな変革が起きそうだ。爆発的に増加しているソフトウエアでは,品質を確保する取り組みや,分野別に異なっていたソフトウエア構造の標準化に向けた動きが加速している。ますます重要性が高まる自動車のエレクトロニクスについて,トヨタ自動車 常務役員の重松崇氏が解説する。(狩集 浩志=本誌)

重松崇
トヨタ自動車 常務役員