Brazil(ブラジル),Russia(ロシア),India(インド),China(中国)の頭文字を取った4カ国の総称。いずれも,経済成長率の高さと人口規模の大きさなどから,将来大規模な市場を形成し得る国として注目を集めている。最近では,最後のSを大文字にして「BRICS」と表し,5カ国目としてSouth Africa(南アフリカ共和国)を加えることもある。

 BRICsという言葉は、米Goldman Sachs社が2003年10月,投資家向け報告書「Dreaming with BRICs: The Path to 2050」の中で初めて使った。「brick(レンガ)」をもじった造語である。

 この報告書によると,2039年までにBRICs4カ国のGDP合計は米国,日本,ドイツ,英国,フランス,イタリア(G6)のGDP合計を上回り,2050年には,GDPの順位が中国,米国,インド,日本,ブラジル,ロシア,英国の順になると予測している。

 BRICsには2つの共通点がある。一つは,人口規模が大きいことだ。中国が約13億人と世界第一位の人口を有するほか,インドは約10億5000万人で2位,ブラジルが5位,ロシアが7位である。この4カ国で,世界人口の約45%を占める。次に,国土面積が広いこと。ロシアは世界1位,中国が3位,ブラジルが5位,インドが7位に位置する。

 人口規模は労働力の供給元であると同時に,所得水準が高まれば,莫大な消費力の源泉になる。加えて,国土面積が広いため,原油や鉄鉱石など天然資源が豊富に採れる。こうした人材や資源に,教育水準の向上による技術開発力が加わることで,飛躍的な成長が期待できる。

 BRICsの名付け親であるGoldman Sachs社は,2005年の報告書で,BRICsに続いて経済大国となり得る国「N-11(next eleven)」を挙げた。韓国,バングラデシュ,エジプト,インドネシア,イラン,ナイジェリア,パキスタン,フィリピン,トルコ,ベトナム,メキシコの11カ国である。

図 BRICsの経済規模は将来G6を超える
図 BRICsの経済規模は将来G6を超える
先進主要6カ国(G6=日,米,英,独,仏,伊)とBRICsのGDPの予測。BRICs合計のGDPは,2039年にG6の合計値を抜く。中国は2016年に,インドは2032年に日本を追い抜く。データは,Goldman Sachs社のDominic Wilson氏,Roopa Purushothaman氏のレポート「Dreaming With BRICs:The Path to 2050」より(日経エレクトロニクス2006年4月10日号より抜粋)