実装基板上にチップを実装する方法の1つ。チップ表面と基板を電気的に接続する際,ワイヤ・ボンディングのようにワイヤによって接続するのではなく,アレイ状に並んだバンプと呼ばれる突起状の端子によって接続する。ワイヤ・ボンディングに比べて実装面積を小さくできる。また,配線が短いために電気的特性が良いという特徴もある。小型,薄型に対する要求の強い携帯機器の回路や,電気的特性が重視される高周波回路などに向く。チップの熱を基板に伝えやすいため,発熱が問題になる発光ダイオード(LED)の実装にも使われている。

 I/Oをチップ全面に持つため,チップ面積を小さくすることが可能。従来一般的だったワイヤ・ボンディングの場合はI/Oがチップ周辺部にあるため,必要なI/O数をそろえるためにチップ面積を大きくしなければならなかった。ワイヤによる配線スペースが不要になるので,パッケージも小さくできる。電源雑音や配線のインダクタンス,抵抗による損失も低減できる。

 接続する基板は,パッケージ基板やメイン基板,リジッド基板やフレキシブル基板とさまざま。チップ間を接続する「チップ・オン・チップ」の実装方法としても採用されている。接続方法を示すとして,フリップチップ接続とも呼ばれる。また頭文字からFC実装,あるいはFC工法と呼ぶこともある。

 導電性樹脂接着工法は,Auバンプを形成したチップに適用する。導電性接着剤でチップと基板を接続し,アンダーフィルで補強する。また,フィルム形の異方性導電膜を基板とチップのバンプの間に挟んで加熱圧着し,樹脂に含まれる導電粒子によりバンプと基板の電極を電気的に接続する方法もある。このほか,狭ピッチ化しやすい圧接工法や超音波接合工法がある。いずれの方法も多数のバンプを一括で接続できるため,ワイヤ・ボンディングに比べて接続工程のスループットが高い。

図 主なフリップチップ実装の種類
図 主なフリップチップ実装の種類 (日経エレクトロニクス2002年2月11日号より抜粋)