NECエレクトロニクスは,フリップチップBGAパッケージの完全Pb(鉛)フリー化を実現した。フリップチップBGAのハンダ・バンプは,2006年7月にEU(欧州連合)で施行される有害化学物質規制「RoHS指令」で除外項目になっている。現時点では,技術的にPbフリー化が困難とされていたためである。ただし,RoHS指令は定期的な見直しが行われており,代替技術が開発されれば,指令の対象に変わることもある。同社が今回開発したPbフリー化技術が,RoHS指令の見直しのキッカケになる可能性も出てくる。また,RoHS指令とは関係なくPbフリー化を求める機器メーカーの声は大きいため,半導体メーカーとしての競争力を高められる。フリップチップBGAの完全Pbフリー化を実現した技術の詳細を,同社の技術者が解説する。(小谷 卓也=本誌)

 NECエレクトロニクスは,世界で初めてフリップチップBGAの完全鉛(Pb)フリー化を実現した。パッケージの外部端子に当たるハンダ・ボールのPbフリー化は既に進んでいるが,今回,パッケージ内部でフリップチップとプリント配線基板を接続するハンダ・バンプのPbフリー化技術を確立したことで,フリップチップBGAの完全Pbフリー化にこぎ着けた。既に,このフリップチップBGAを一部の顧客に出荷している。これにより,我々の集積回路用パッケージ製品すべてのPbフリー化が完了した。

 フリップチップBGAのハンダ・バンプのPbフリー化は,技術的に実現の障壁が高いとされていた。そのため,2006年7月に欧州連合(EU)で施行されるRoHS指令の除外対象になっている。本論文では,フリップチップBGAの完全Pbフリー化が難しいとされる理由と,その課題に対して今回適用した技術の詳細を述べる。